藤井牧場さんの経産牛は驚愕のおいしさだった
公開日:
:
2014/05/05
熟成肉
藤井牧場さんのお母さん牛(154ヶ月齢の経産牛)のリブとサーロインはル・キャトーズイエムへ嫁いでいったのですが、どうしても食べて見たくて、かといって連休中は忙しくて動けず、考えた挙句、ヒレを個人用に買い取ってしまいました。仕事もほどほどにして(笑)、急いで帰り肉焼き体制を整えて出来上がりはご覧のとおり。
ル・キャトーズイエムへ行ったつもりで、焼き方は茂野流で。経産牛のヒレはもともと水分が少ないうえに熟成させているので水分の減少が加速し、そのかわりに糖度が多くなっています。まず、フライパンに油をたっぷり入れて高温で表面をキャラメル状に焼き固めます。
茂野さんと出会ったころ、「肉をキャラメルにする」という表現をよく使うものだから、私はてっきりパリの肉屋用語かと思っていたのですが、しばらくして焼き色のことだと理解できました。キャラメル状に固めることによって、熟成香を封じ込めるというわけです。殺菌作用もあるので、自店で危なっかしい熟成をやっている方はこのやり方(揚げ焼き)がいいかも知れませんね。
油をかけながら高温で一気に焼くのは、低温で焼くとムレたような嫌な匂いがするからだとか。熟成の度合いにもよるとは思いますが、揚げ焼きの利点は、オーブンでじっくり焼くよりもスピーディに仕上がるという点です。なによりもお客様を待たすことなく提供できることで時間短縮にもなると思うのです。
さて、驚きましたね。あまりにもうますぎて。ただ、ヒレの熟成は歩留りが悪すぎてビジネスとしてはダメですね。よほど高値で提供できれば別ですが。でも、ほんとうにおいしくて、このような肉を食べつけると他の肉は何を食べても満足できないかも知れません。
ということで、藤井牧場さんのお母さん牛、残りの半頭(リブ、サーロイン、ヒレ)は、駒沢のイルジョットへ嫁いでいくことになりました。
5月15日以降、おいしいお肉が食べたい方はイルジョットへお出かけください。
関連記事
-
-
大分県産の経産牛を熟成させました
今号の「料理通信」はかなりおもしろいことになっている。知り合いのシェフが多く掲載されていて、
-
-
綾部さんの花房和牛(経産牛)は熟成肉として本日ようやく仕上がりました
長崎県の綾部さんから「うちの肉を食べて感想を聞かせてほしい」とメールがきたのが3月のことだっ
-
-
枝肉吊るしでおいしく仕上がる方法
写真は近江プレミアム牛ですが、3月5日に冷蔵庫に吊るして16日目。せめて今月末までは吊るして
-
-
熟成肉はうっとりなるほど旨くて美しい
懇意にしている記者の方に誘っていただき 大阪の又三郎へ熟成肉を食べに行ってきた。 お
-
-
シチロウの骨付熟成肉の公開脱骨作業
シチロウのリブロース断面、放牧で草を主食にしてだけあって赤身が強い。[/caption] シ