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満天☆青空レストランの反響

公開日: : 2013/09/12 熟成肉

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昨日は、朝から木下牧場、藤井牧場(写真)で研修を行い、夕方開催の肉Meets「IL GIOTTO 高橋直史×駒谷牧場 野生の牛を食す会」に参加のため、そのまま一路京都へ・・・
と車を走らせたのだが、それでは飲めないとばかりに車を途中で乗り捨て電車できたやま南山へ。

肉Meetsの話しは内容が濃すぎるため後日しっかり書きたいと思います。その前に、テレビです。9月7日に放送された日テレの「満点☆青空レストラン」の反響が凄すぎてしばらく身動き取れない状態が続きそうです。

熟成肉の注文や問い合わせが殺到中ですが、すでに在庫もなくなり、次回の仕上がりを待つばかり。こればかりはどうしようもなく、番組で放送された木下牧場のランプ肉も同様です。9日に2頭の入荷がありましたが、すでに取引先から予約いただいている部位もたくさんあり、番組をご覧になって注文いただくすべてにお応えできないのが現状です。

待ってでもいいからとおっしゃる方もおられますが、待ってられると思うと私の気が重くなるのであまりお受けしていません。だいたい物忘れが激しい私ですから、かえってご迷惑をおかけするかも知れませんしね。

さて、今回のテレビでよくカットせずに放送してくれたなと思う個所がありました。過去何度かテレビに取り上げられたときはいつもカットされていたので、この番組はすごいなぁーって後からみんなで万歳ですよ。

数年前までは木下さんもご多分に漏れず、「サシ優先」の飼育をしていました。つまり、賞狙いです。実際に共進会(牛のコンテストのようなもの)でたくさんの受賞歴があります。じつは、牛にサシを入れることはそれほど難しいことではありません。もちろん、A5狙いでBMS12(霜降り度合の最高峰)の牛を作るにはそれなりの工夫というか技術(でもないが)が必要です。

簡単に言ってしまえば、ビタミンを制御するとサシが入りやすくなるのですが、制御した分、栄養バランスが崩れ、牛への負担が大きくなり病気になってしまうのです。

木下さんも以前はそういった飼育をしていました。ところが、子供の舌は正直とはよく言ったものです。長女が無理やりサシを入れた肉を口にしないのです。それどころか「まずい」と切り捨てたのです。これには木下さんも悩まされました。牧場経営を安定させるにはサシを入れて10円でも高く売らないと持続できない。しかし、長女は食べてくれない。子供が食べない肉を作ることが本当にいいことなのだろうか、幸せなのだろうかと随分悩んだそうです。実際に私も、サシを入れて病気の牛を作ることが本当にやりたいことなのか、牧場の後を継ぐ娘が口にしない肉を作ることがどういうことなのかと叱ったこともありました。

木下さんの葛藤は続くのですが、結果として、見た目より味、特に赤身でおいしい肉作りに切り替えることにしたのです。素牛はサシが入りやすい但馬の血統を選びました。牛は血統が肉質の良し悪しを決めるとも言われています。たしかに一理あり、但馬の血統は牛が大きく育たないかわりに細かなサシが入りやすいのです。

これなら長女も食べてくれるだろう、ビタミンを制御せずともサシが入りやすい血統なら霜降の肉もきっとナチュラルな味がするはず。案の定、長女は食べるようになったのですが、当然リスクがあります。格付けがA3平均と経営を圧迫するようになってきたのです。周囲の農家の風当たりも強く、A5が作れない牛飼いは牛飼いにあらずと言われることも少なくありませんでした。※牛飼いとはそのままですが、牛を飼う人のこと。

しかし、ようやく時代が追い付いてきたというか、サシ入りの肉ではなく、赤身に価値を求める料理人や消費者の方が増えてきたのです。

今回のテレビでは短い時間でしたが、こういった背景を映し出し、そして木下さんが発した言葉を編集なしで放送してくれたことに明るい未来を感じるとともに大いに感謝しおります。

 

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