熟成肉はカフェラテの香
この日はテレビの取材であまりお見せすることのない熟成庫 へ。
熟成香(じゅくせいこう)をカフェオレと 表現するあたりはさすがアナウンサーの方です。
熟成10日目でこんな感じになります。
見ようによっては傷んでるようにも見えなくないが 、50日まで熟成させるとここまで白カビがリブロースの断面を覆います。
インタビューでは、ドライエージングビーフと呼ぶか、それとも熟成肉と呼ぶかで呼称を1つに統一したほうがわかりやすいということで、熟成肉で終始話させていただいた。
まとめるとこんな感じ。
①湿度と温度、風のコントロール
温度と風は肉屋やレストランの冷蔵庫でも工夫次第でどうにでもなるのだが、問題は湿度だ。通常の冷蔵庫では湿度調整はできないので、別途取り付けなければいけない。
これがけっこう高くて、熟成肉にチャレンジしようと試みてもここで断念する方がたくさんいる。
私の経験では、昔の肉はなにもしなくても熟成香がしていたのだが、これは冷蔵庫によるものだと思う。いまは空冷式のものがほとんどだが、昔は水冷式しかなかった。このあたりも大いに関係しているのではないかと推測する。
②酵素の働き
肉の中にはタンパク質を分解する酵素が含まれている。この酵素が旨味となるわけだが、肉の流通はいまや部位ごとの真空パックが主流。一昔前までは枝肉流通が主流だったのだが真空パック流通に変わってから、肉がおいしくなくなったという意見が多くなった。特にお年を召された方からよく言われる。これは、真空パックにするときのバキュームにより酵素を含んだドリップが外へ流出してしまうためで、それを防ぐ意味でも熟成肉は骨付きの状態で行うのが望ましいのだ。
③菌による熟成香
熟成肉とって一番重要なのが菌の問題だ。菌を自然発生させる方式と培養した菌を塗り付ける方式の2通りがある。どちらも試したがいまは自然発生のみでドライエージングさせている。この菌が熟成香(件のアナウンサー曰くカフェラテの香)に影響するのだが、科学的検証をしたわけではないのでハッキリとしたことはわからない。しかし、肉に含まれる2種類の水分(結合水と自然水)が熟成肉を成功させるために大きな影響を与えていることは間違いなさそうだ。
さて、12月に入り、お歳暮で忙しくさせてもらっているが、サイトのトップに「近江牛.com人気ランキング」というものがある。
これは、1週間ごとの集計によるランキングなのだが、1位はギフト券で、近江牛熟成肉が2位だ。昨年は圏外だった熟成肉がここ数か月2位をキープしている。
認知度も徐々に高まり、毎日たくさんの注文をいただいているのだが、リピートしてくださる方が本当に多くて、味を気にいっていただいてることがうれしい。
熟成の完成度も100点満点とは言わないが、かなりの精度でコントロールできるようになってきた。年末年始はもしかすると売切れることも考えられるのでお早目のご注文をお願いします。
肉を焼くという行為はハマってしまえばなぜかおもしろくて奥深いものです。
時間のとれるお正月にじっくり肉を焼いて新年を迎えていただくというのはどうでしょうか。
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