タルタルだけのメニュー構成は難しかったがやってよかった
公開日:
:
2019/07/12
イベント
先々週の7月2日、なんとも無謀なタルタルの会が開催されたのでした。シェフは1ヶ月悩んで悩んで試作品は何回ダメ出ししただろうか。OKでたのは会の前日。イベント屋じゃないので目的のないイベントはやる側が疲れるだけ。今回は友人にテーマをいただき、苦しみながらも満足できる6品ができました。おかげさまでメニュー化できるものもいくつかありますので、さっそく今月中にお出ししたいと思います。
ところで、タルタル提供している飲食店、多くないですか?
そんなに簡単には生食提供の許可はとれないので、不思議です。僕が生食の許可をとったのは2年前になりますが、何度か途中でやめようかと思ったぐらいです。受け方によっては保険所が無理難題、そんなの無理だろうということを要求してくるのですが、僕の場合は新築だったので、言われるがままに設計できたのですが、普通は無理な方が多いと思うんです。それと、生食を提供するには飲食店が許可を取ればいいだけじゃないんですね。一般の方はもとより飲食関係者も知っている方は少ないようですが、生食用の肉を仕入れるには、仕入れ先の肉屋なり卸会社なりが生食加工の許可をとっていないと違法になります。新しい肉だから生で大丈夫という安易なことではないのです。つまり生食の許可がおりた施設から流通した牛肉以外は生食として提供してはいけないということです。だから生食を提供するということはかなりハードルが高く、卸元と飲食店の2つが許可をとっていないとダメだということです。ちなみに許可の種類も異なります。もう一度言いますね。飲食店が生食販売の許可を取ってるだけではダメなんです。
加工の工程ですが、邪魔くさいですよ。まず屠畜から枝肉になり7日以内に菌検査から処理までを終わらせなければいけません。菌検査に出している間に熱処理をするのですが、これがめちゃくちゃ手間なんです。うちの場合、枝肉から抜いたモモ4部位(40~50kg)を90~95℃のお湯に30分浸けて、取り出したモモ肉の断面1.0~1.5㎝を62度で2分間キープ。そして3時間30分冷やして芯温8~12℃をキープ。この行程の間に菌検査の結果が陽性なら処理した肉は生食として販売できないのです。
ある日のマジ話です。食事の席で隣り合わせた飲食店オーナーさん。タルタルって生食なんですか?!発言には驚きました。タルタルもカルパッチョもユッケも火を入れていないものは生食扱いです。飲食店でみかける生食の大半は無許可かグレーだと思います。それほど、許可をとるのは手間と労力がかかるのです。今ある厨房で許可がおりることはまず考えられないので、保健所の指示に従って改装を余儀なくされるケースがほとんどです。
となると大きな投資になるわけです。許可なく生食を提供している店で問題が起った場合、真面目に許可をとって提供している店にも迷惑がかかりますし、なによりも食中毒の恐れもありますから業界全体のダメージは計り知れないです。
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