ジビーフ「太郎」入荷、そして米国産牛肉の輸入月齢の制限撤廃で、30ヶ月齢以上の牛肉が入ってくる
公開日:
:
2018/11/16
コラム, ジビーフ(完全放牧野生牛)
トラックに揺られてジビーフ『太郎』がやってきた。先日の北海道肉専用種枝肉共励会において「赤身賞」を受賞した太郎がやってきた。これからじっくり休ませてから手当てしていきます。しかし赤身賞って、、、そんなんあったんやね。じゃーあれだ、黒毛和牛のチャンピオン牛は霜降り賞だ(笑)
ジビーフを和牛だと思ってる人がいるんです。たぶん僕が近江牛やってるからでしょうね。あの環境(通年放牧)で和牛飼ったら死んじゃいますよ。ジビーフは和牛ではなくアンガス種です。格付けなんか安定のC1ですから和牛の世界なら・・・ねぇ、、、つまり牛の品種によって育て方が違うわけです。
米国産牛肉の輸入月齢の制限撤廃で、30ヶ月齢以上の牛肉が入ってくる
11/14の農業新聞の記事です。とうとう、、ついに。喜ぶべきか悲しむべきか。遅かれ早かれ月齢緩和はやってくると思っていましたが、生産者のみなさん、油断してますよね。これ結構重大ニュースだと僕は捉えています。
内容を読んでおそらくだが軽く流した人が多いのではないでしょうか。ふ~んてな感じで。これが現実となれば僕は日本の牛肉は大きなダメージを受けることは間違いないと思っています。そりゃそうでしょう、使う側も食べる側も選択枠がぐぐっと広がるわけですからね。いきなりUSAビーフなんて店もでてくるかも。
2001年に発生したBSE問題以前の米国産牛肉のおいしさを僕は知っている。当時、近江牛専門店を掲げていながら、僕はブラックアンガスのおいしさに魅了されていた。特にプライムの肉質はすばらしかった。もちろん和牛の旨味や香りには敵わないまでも、それでも魅力があった。近江牛で構成したショーケースにブラックアンガスのリブアイロースとチャックリブの2アイテムを置いていた。恥ずかしながら一番人気だった。近江牛専門店なのに。クリスマスが近づくと、近江牛とブラックアンガスのプライム、チョイスの3種を三択ロースとして販売していた。いま思うとただのダジャレオヤジで恥ずかしい。
BSE以降の輸入牛肉はズタズタの状況だ。わざわざ日本で海外の肉を食べる必要性すら感じなかった。もちろんいまもそう思っている。例えばフランスでシャロレーやバザスを食べておいしかったとしても、同じものを日本で食べて満足することは難しい。ここに月齢という大きな問題が出てくる。月齢ぐらいでそんなに味が変わるのかと思うかも知れないが、数か月違いでも肥育期間の差は大きい。旨みが乗る前と後の肉と言えば分かりやすいかな。
牛肉の味は、牛の品種と血統、餌、そして育て方で決まります。しかし、もっと重要なのは肉になってからの熟成と保存だと思っています。僕がいつも言ってる手当てです。流通は真空パックオンリーだが、そのうち骨付きで入ってくる可能性すらでてくる。となると日本の牛肉事情は大きく変わる。僕は僕の好きな肉をやるだけだがおもしろくなりそうだ。
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