「蔓ききょう」にて、京丹後の魚政さんとのコラボ会
公開日:
:
2017/04/13
イベント
私は地元滋賀に取引先をできる限り持たないようにしています。なんてことを公言するとあまり良い印象は持たれないでしょうね。もちろん私なりの持論があり、けっして驕(おご)ったり調子に乗っているわけではありません。小さな街のあっちにもこっちにも私が手当てした肉があること事態ちょっとどうかなと思ってしまうのです。そもそも営業力もありませんし、ビジネスに徹しているわけでもありませんし、いまさらこの年齢で大きな野心もなく、ただただ好きなシェフに気にいってもらえる肉を手当てし続けることが私の中では喜びなのです。もちろん店頭やネット経由でお買い物してくださるお客様に対しても気持ちは同じですが、プロの料理人と消費者の方に販売する肉は仕上げ方が違います。そのあたりが肉屋としての技術であり、私にしかできないことだと思っています。
さて、瀬田川(滋賀大津市)の唐橋南側に「蔓ききょう」という炭火割烹の店があります。昨年11月にサービス担当のご主人と「なにかおもしろいことやりたいね」、という話から魚を同店に卸している京丹後の魚政さんとのコラボ会にあれよあれよと話しは進んでいったのでした。決まるのはさほぞ難しいことではないのですが、料理する奥様はそりゃ大変です。胃が痛くなるわ、イライラするわ、眠れないわでかなりのプレッシャーだったようです。魚政の谷次さんとは10年来の友人なので我々は当日を楽しむだけで胃も痛くならなければ夜もぐっすりです(笑)
京丹後産天然鯛の熟成と活けの食べ比べは、普段魚を滅多に食べない私でもその違いがハッキリ分かりました。食べ比べないとただおいしいで終わってしまうのですが、なるほどと一呼吸考えさせられる「間」もこういう特別なイベントでした体験できない楽しさです。
こちらは牛肉の食べ比べですが、熟成させる環境による味の違いを体験していただきました。産地、生産者、部位を統一して40日間ドライエイジングしたものと、同じく40日間吊るしたものを食べ比べて感じていただこうという趣向です。
先ほどの鯛同様にすぐに違いが分かりましたが、エイジングしているサーロインは口の中に入れるまでもなく、鼻に近づけた瞬間に独特の熟成香を感じました。かたやエイジングしていないほうも、骨付きの状態で吊るしておいたので、こちらもドライエイジングとは異なる熟成香を感じることができました。ただ香りが違うのでこのあたりが微生物の奥深さであり、欲を言えばフレッシュな状態の肉も用意すればよかったとちょっと後悔したのでした。次回があれば3種類でやりたいと思います。
ワインは4/23に京都五花街のひとつ上七軒に「香kou」をオープンする倉田さんセレクト。なかなかおもしろい合わせ方でした。彼女も話し出すと長い(笑)… それだけ生産者やワインへの思いが強い証拠。参加者みなさん、倉田さんの話にぐぐぐと引き込まれてしまいました。
愛農ナチュラルポークはどうしてもロースやバラに注文が偏りがちですが、モモもかなりおいしいのです。この日はウチヒラを炭火で焼いていただいたのですが、やっぱり脂が秀逸ですね。特に炭焼きはピュアな脂に炭の香りがついて、味を重ねるように何段階も香りを楽むことができました。愛農ポークは、なぜこんなにおいしいのか、なにも特別な育て方をしているわけではないのに、本当に不思議です。
料理内容はかなり割愛しましたが、終わってみれば大大大満足な蔓ききょうさんでのコラボ会でした。機会があればまたやりたいと思います。
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