*

一日4名しかとらない孤高のシェフが作りだすすばらしい料理

公開日: : 2017/03/26 店・料理人

先週はジビーフ絡みで諸々と北海道へ。夜はジビーフを使っていただいている某レストランヘ。店名を公開したいのですが、いかんせん一日の予約数が4名でしかも一回転のみ。シェフにご迷惑がかかるといけませんので伏せておきます。

オープンして4年くらいは暇すぎて毎月ほぼ赤字だったそうです。シェフはどこかで修行したわけではなく、独学で料理を学び、しかも札幌ではなく郊外で開業し、アラカルトなしのコース料理一本のみ。一人でやるには理想の組み立てだとは思いますが、都会じゃないですから苦戦したでしょうね。

食材が回らない状況が続き、でも賄いにするのも冷凍して使うのも嫌だという性格。追い込まれた状況の中でどうやって鮮度保持するかを考え、調べに調べて何度も何度も試行錯誤して辿り着いたのが、浮力と温度管理でした。

シェフが言う温度管理とは、冷蔵庫の開け閉めを減らすとかではなく、零度の水に浮いていれば冷蔵庫の霜取り最中でも場所、空気によっての温度変化もなく均一の温度管理が出来るというもの。

少し前に電話で話した時も、こんなことをおっしゃっていました。「浮かせているいる食材を巻くペーパーと食材の向きを毎日朝、昼、晩3回変える事で、明らかに皿が変わり料理に温かみが出始めたのです。それにより食材の鮮度維持も飛躍的に伸びますし、トリミングの量も減ります」と・・・

シェフの中では、熟成=旨味を上げる事ではなく、いかに品質を維持するかが優先であり、それは生活そのものなのです。つまり「熟成=生活」であり、「食材=命」なのです。

ジビーフのウデから取り出したクリミです。4時間かけて火入れしたというだけあって繊維が壊されずジビーフ特有の旨味と香りを堪能することができました。

こちらは、ヒレのカツレツです。こちらもクリミ同様に4時間の火入れです。個人的に柔らかすぎるヒレは苦手なので、ちょうど良い仕上がりになっていました。

1日4名しかとらないスタイルはシェフの考える最高のパフォーマンスが発揮できる最大人数だと思いますが、願わくば一人でも多くの方にこの料理を知ってほしいと思うのです。そして、料理雑誌のライターさんはいつも同じようなシェフばかりをクローズアップするのも、それはそれでいいのかもしれませんが、こういう地方のシェフを引きたててこそ、飲食業界全体が盛り上がるのではないでしょうか。

 

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

「近江牛専門店さかえや」から「肉 サカエヤ」へ

この地で店舗を構えて今年の2月で20年が過ぎました。当初から20年で一区切りと決めていたので

記事を読む

牛肉の常識を覆す、銀座レカン総料理長 高良シェフの挑戦

銀座レカンの高良シェフとは休業中の2年間で数えきれないほどご一緒させていただきました。ジビー

記事を読む

Or en Boucheゆっくりオープンしました

近所にこんな店があったらいいのになぁー。 たまに出会う10坪とか15坪の小さな店でそんなこ

記事を読む

ジビーフと愛農ナチュラルポークで作ったフリウリの郷土料理が抜群においしかった

この日は特別にイタリア北東部のフリウリで働いていた頃の料理を再現してくれた。カウンターだけの店内には

記事を読む

目利きとは、肉屋の仕事とは。

ライターさんにこんなことを質問されました。「新保さんは、生産者を限定してお肉を選んで

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2025年7月
     12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031