牛肉嫌いの子供が食べた肉はまさかのジビーフだった
公開日:
:
2015/12/21
ジビーフ(完全放牧野生牛)
今年は、「熟成肉」や「塊肉」「赤身肉」のキーワードをたくさん目にしました。いろんなところで牛肉の話題を耳にし、飲食店で隣り合わせになったグループから否応なしに聞こえてくる熟成肉の話など、とにかく目の前の料理じゃなく情報を食べているのような気がしてなりませんでした。飲食店の評価サイトや星付きレストランのガイドブック、テレビのグルメ番組など、あらゆる情報に翻弄され、やっと選んで行った店が残念な結果だったってことあるんじゃないでしょうか。こういった情報も参考にはなるでしょうが、やはり、体験に勝るものはなく、そういった意味でも友人知人からのクチコミがもっとも信頼でハズレがないように思うのです。
さて、冒頭の写真は水天宮の「ラ ピヨッシュ」で提供されているジビーフですが、2年がかりでなんとか一頭を捌けるまでになりました。いやぁー大変です。言葉は良くないのですが最初見た時「だれがこんな肉買うの?」って感じでした。いまもそんなに変わらないのですが(笑)、脂は黄色くて肉は締りがなく、おまけに水分量が半端なく多いので扱いにも困るわけです。肉質も硬めなのでドライエイジングにしてみたところすぐに腐るし、とにかく難しい牛です。普段扱っている和牛の管理が楽とさえ思えるほどです。
物珍しさからテレビや雑誌に取り上げられたこともあり、その効果で使ってみたいとの問い合わせもいただくのですが、情報だけで使いこなせるような代物ではありません。
見向きもしてもらえない当初は、問い合わせがあれば販売していました。ですが一回限りがほとんどです。2回目はありませんね。それでも出荷するごとに粘り強く使っていただき、ようやくジビーフの特性を掴めたとおっしゃていただくシェフがいたり、また違うシェフは私との付き合いで無理やり使っていたが、いまでは月一の入荷が待ち遠しいと言っていただけるまでになったのです。
サシの入った和牛のようにとろけることはなく、どちらかといえば歯で引きちぎるようなイメージで、ガシガシと噛みしめながら味わうのがジビーフの良さです。一度でもジビーフが生息(あえて飼育ではなく)している様似へ行ったことがある方は、噛みしめるごとに壮大な景色が浮かぶことでしょう。それすら味わいとなっておいしさに加味されるのです。だからこそ、ジビーフの使い手は魂が入るし、食べ手を飽きさせない技術力があるのだと思います。
はじめての出荷から、7頭だったか8頭だったか、おそらく次で9頭めになると思うのですが、最近うれしい感想をボチボチいただくようになりました。ジビーフはプロ向けとして大半を販売するのですが、一部、タイミングが合えばわくわく定期便の会員様にお入れすることがあります。薄くスライスして調理しやすくしているのですが、「冷え性の体がジビーフを食べるとポカポカと温かくなった」とか、「うちの子供は牛肉を食べてくれないのですが、お弁当に入れたら食べてくれた。しかもママおいしかったと初めて言ってくれた」とか、私の思惑とは反した意外な感想が寄せられています。大人よりも子供の評価が高くて驚いています。
さて、そんなジビーフですが、来年は1月下旬の出荷→入荷を予定しています。どうぞお楽しみに。
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