「つながり」から目隠しで枝肉を買う
健康な牛とはなにか?… たまにこういうことを聞かれることがあります。病気をせずに育ち、無事に出荷ができて枝肉になったときに瑕疵がない牛。生産者の端くれ的な回答をすればこんな感じでしょうか。牛が食べているものが肉の味となり、しいては私たちの健康にもつながります。あたりまえのことですが、じゃーどうすればいいのかって話です。一家に一頭ってわけにはいきませんからね。肉屋は生産者を信じ、消費者は肉屋を信じ、つまり信じられる店や人とつながることが安全や安心やおいしさに近しいことだと思うのです。
近江牛のセリは週2回、13時から始まります。セリ前に購買者が枝肉がズラズラ~っと吊り下げられた準備室で下見をします。いわゆる目利きです。お目当ての枝肉をチェックして競り合うわけですが、私の場合は、知り合いの生産者の枝肉しか買わないので、下見も15分程度で終わってしまいます。先週もそんな感じでした。
一頭目を落札して、二頭目も・・・ところが、二頭目の枝肉がとんでもなく高値だったので買えなかったのです。しかしこの日はどうしても二頭買わなければいけなくて、でも、この二頭しか下見をしていなかったんですね。こうなると枝肉を見ないで買うことになります。となると、生産者の「人」で買うしかありません。親しくしている生産者であれば枝肉を見なくても、だいたいの想像がつきますし、生産環境も知っているので安心です。
で、どうなったのかと言いますと、格付けA3でBMS4という枝肉を落札したのです。もちろん親しくしている生産者の枝肉です。格付け評価から赤身を想像していたのですが、本日ロースをカットしたらとんでもなくサシが入っていて驚きました。格付けって本当にアテになりません。しかし、内容(赤身とか霜降りとか)はどうでもよくて、結局は信じられる生産者とつながっているからこそこういった冒険もできるのだと思うのです。
外食においても同じだと思うのです。店選びは味や価格など選ぶ基準が違うとは思いますが、信用できる店や人と「つながる」ことが大事だと思います。口が似たような人とつながれば早々失敗はしないのではないでしょうか。
関連記事
-
-
昭和のおいしかった近江牛を再現
1ヵ月以上、吊るしておいた骨付きロースを本日捌きました。ドライエージングではなく普通
-
-
ウィリアムと柳瀬さんとセヴェロオープン、そして不思議なメンバーで牧場見学
パリ14区のル・セヴェロといえばステーキの名店。そのセヴェロが明日18日、西麻布にオープンし
-
-
熟成に理想的なA2の肉
WardPressの仕様が変わってから、どうにも使いにくくて更新も前みたいに頻繁じゃなくなってきまし