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一頭からわずかしかとれない希少な部位

公開日: : 2015/05/26 牛肉の部位

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私たちの仕事は肉を捌くところからはじまります。ここでいう「捌く」とは枝肉から骨を抜く(外す)ことです。肉を切ったりスライスすることは「精肉にする」ということなので、骨を抜く行為は「捌く」という表現をしています。ですから肉屋でいう「捌き」とは枝肉から骨を抜く(外す)ことなのです。

とはいうものの、肉屋本来の仕事でもある「捌き」がなくなりつつあります。いまや問屋から肉屋に納品される肉はボックスミートと呼ばれるものが主流です。真空パックされた部位ごとの肉の塊が箱に入った状態をボックスミートと呼ぶのですが、使う側としてはかなり便利です。消費期限がだいたい30日ですからおおよそ1ヵ月以内に使えばいいわけです。もちろん早く使うにこしたことはないのですが店事情もあるでしょうし、そのあたりは肉に対する向き合い方や考え方ですね。

たとえばある雑誌に熟成肉に真空パックは不向きだと書かれていました。しかし私はそうは思いません。フレッシュな肉のように熟成肉を長期保存するための真空パックなら不向きだと思いますが、熟成を止める意味での真空パックはアリだと思っています。ただ、できる限り早く使うことが条件ですが40日の熟成期間を経た肉を真空パックして10日間程度保管する分には味への影響はさほどないものと考えられます。このあたりも肉に対する向き合い方や考え方であり、ぜったいこうだというものではないように思っています。

当店では、枝肉の捌きを重要視しています。自分で捌くからこそたくさんの気づきがあると思うのです。昔と違っていまは問屋さんが捌いてくれるし、ある程度の融通も聞いてくれます。だから捌きは肉屋の仕事からなくなっていくでしょうし、実際に店頭から枝肉がぶら下がっている光景も見なくなりました。しかし、肉を知るには骨を知ると私は思っています。牛に負担をかけた肥育とノンストレスの牛とでは肉に違いが表れます。そのあたりも捌きから学べるのです。

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捌きをやっている(やってきた)方はこれが何の肉でどの部分なのかわかると思いますが、ボックスミートでやっている方はおそらくわからないのではないでしょうか。骨盤あたりのメガネと呼ばれる骨に付いている肉で、用途は肉屋によって異なりますがカレー肉かミンチ、問屋では小肉やクズ肉扱いがほとんどかな。

日本ではクズ肉扱いのメガネの肉ですがフランスではaraignée (アレニェ)と呼ばれ取り合いになる部位なのです。こういう肉を「一頭から僅かしかとれない肉」と本来なら言うべきだと思うのですが・・・。ちなみにaraignée (アレニェ)とは蜘蛛の巣という意味です。

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じつはアレニェはステーキにするとすごくおいしいのです。

 

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