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ソトヒラも焼き方次第でこんなにおいしくなるという一例

公開日: : 2014/11/28 牛肉の部位

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三軒茶屋のRestaurant 愛と胃袋では木下牧場の近江牛が食べられるのだが、部位を決め打ちしているわけではなく、そのときの肉の状態でロースであったりモモであったりと部位を見極めて使っていただいている。写真はモモの中でも人気がないソトヒラです。なぜ人気がないかと言うと繊維が密集していて肉質が硬いからだ。しゃぶしゃぶならいざ知らずステーキにしようものなら噛みきれなくて歯が疲れてしまう。

しかし、ソトヒラを使いこなせればこれほど味があっておいしい部位はないと思う。もちろん柔らかくはないですよ。特に霜降り肉に慣れ親しんでいる人にとっては切れない、噛めない、飲み込めないなど、不味い肉の印象しか残らないでしょう。

ニューヨークやパリへ旅行に行き、現地で食べたステーキに同じような三拍子(切れない、噛めない、飲み込めない)の印象を抱いた人も多いのではないでしょうか。… それと似た感じかな。そしてみなさんこう言うんです。やっぱり牛肉は日本のほうがおいしいよなと。

霜降り肉はたくさん食べるものではありません。すき焼きにしても3~4枚を野菜や豆腐と交互に食べるからおいしいのです。ステーキにしたって霜降りが強いサーロインを200g食べようものなら命がけです(笑)

柔らかさと脂肪の多さに価値を置く日本人と違って、フランス人はある程度の硬さ、つまり噛みごたえを楽しむ文化があります。そのためにフランスの畜産家が追い求めたのが赤身肉なのです。フランス料理にかかせないソースも当然ながら赤身肉には合うが霜降り肉には合いません。ソースが邪魔をしておかしな味になってしまう。それよりもシンプルに塩だけのほうがおいしく食べられるのだ。

余談だが、フランスのある田舎町の知人は、パリには良い食材がない。だからソースをかけて食べる文化が根付いたのだと言っていた。逆に田舎には良い食材が溢れているから名物と呼ばれるものがないとも。真意のほどは分からないが一理あるのかなとも思っ次第です。

レストランで肉を食べるのであれば、分厚い肉をガッツリ食べたものです。だとすれば求められるのは霜降り肉ではなくて赤身肉です。ただ、赤身肉ならなんでもいいかと言えばけっしてそうではありません。ある程度柔らかさも必要だし、なによりも噛みしめる度に溢れる肉汁と旨みが最重要だと考えています。あとは焼き手の技量かな。

赤身で人気なのはランプですが、ウチヒラやシンタマも使いやすくて味があると好評です。ソトヒラに関しては、個人的にはイチオシですが好みが分かれるところです。ソトヒラはどうしても硬いイメージがあるようですが、厚さや火入れ具合を調整すればかなりおいしくなるのでぜひお試しいただきたいと思います。

 

 

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