肉Meets in Le14e(ル キャトーズィエム)
Le14e(ル キャトーズィエム)は5坪13席(だったかな)の小さなお店です。ゆえにメニュー数も限られています。しかしながら茂野シェフの懐は深く、じつは肉の加工品が得意だったりするわけです。パリで7年間、そして六本木の祥瑞で3年だったか4年だったか・・・その間に培ったのは肉を焼く技術だけではなく、肉の特性を活かした料理を作ることだったのです。そんな話をしていたのが1ヵ月前のこと。じゃー、普段の営業で出していない料理をやりましょうよ。ということで実現した茂野シェフ渾身の隠れメニューの会だったのです。結構な頻度で打ち合わせもやりましたので茂野シェフの本気度で逆に私が変な緊張をして当日はかなりドキドキしました。
まず1品目ですが、2月18日に出荷した27か月齢の雌のロースからリブのかぶりです。茂野シェフには骨付きで納品済みです。サーロインは使いやすいのですが問題はリブロースのかぶりです。すき焼きやしゃぶしゃぶにするなら付けたままでいいのですが、ステーキとなると外さなければ使いずらいのです。イブマリは包丁で叩いてバーガーにすると言っていたのですが、茂野シェフは塩漬けにして燻製にしていました。参加者全員度肝を抜かれてのスタートです。
2品目は豚の頭のにこごりです。はい、絶品でした。
3品目は、近江牛タンのグリルです。このあとクラシタ(カタロース)のステーキ、そしておまちかねのブーダンノワールです。
色や形は歪ですがこれが最高においしくてちょっと他ではお目にかかれない代物です。とにかくうまいとしか言いようがありませんが毎日でも食べたいです。
そして驚いたのがこちらのクラシタのネックを使ったブッフオーキャロットです。京にんじんと赤ワインの煮込みですが参りました。
この後は、カイノミに近江プレミアム牛の骨付きリブと、もう許してくださいと全員がひれ伏すほど肉まみれになったのです。近江プレミアム牛の骨付きリブなんて初めて食べたのですが、いやぁー感動しました。
近江プレミアム牛の特徴は脂の旨味なのですが、福井の銘酒“梵”の酒粕を1日7kg与えています。その影響だと思うのですが酸を強く感じる肉質に仕上がるのです。酸が強い肉は余韻も長く続くので、茂野シェフが求めている肉にかなり近いのです。赤身のあっさりとした肉も万人受けする時代ではありますが、やっぱり和牛の脂はおいしいのです。ただ、脂の質をどのように仕上げていくかがこれからの課題なのです。脂を硬くするのも柔らかくするのもエサで調整できます。だからこそ良質のエサを食べさせて肉質を高めていかなければおいしくなってくれないのです。
今回の肉Meetsは、茂野シェフがやりたいことを思う存分にやっていただいたのですが、会費を超えた原価無視のすごい会でした。骨を外したり肉を塩漬けにしたり、乾かしたりと手間ひまかければ原価なんてわからないですよ。それでも料理人はやってしまうんです。お客さんに喜んでほしいがために。店を継続していくためには利益を出し続けなければいけません。
しかし、たまにはそういったことを考えずに思う存分好きな料理を出して、自身も楽しむことも必要なんじゃないかな。茂野シェフの笑顔に触れるとついそんなことを思ってしまうのです。
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