瓢亭15代若主人高橋義弘さんが創りだす和の世界観
第30回目となる肉Meetsは、京都南禅寺の瓢亭さんで開催しました。瓢亭さんといえば日本を代表する京料理の老舗。その瓢亭さんで牛肉???
今
そんな経緯から肉Meetsを開催することになったのですが、以前、なにかの雑誌で義弘さんが「京料理とは何か?」
人間にとって不可欠である「たべること」。どんなものを
肉Meetsですから、肉がメインなわけですが、せっかくの機会なので名物の瓢亭玉子を初めとする瓢亭料理を前半に、そして後半は牛肉を… なのですが、私が義弘さんに預けた牛肉はかなり悩むであろう3品です。
一品目:木下牧場の近江牛ラムシン(赤身)
二品目:ホワイトヴィールのランプ
三品目:近江プレミアム牛みすじ(霜降り)
最初に義弘さんから料理の説明があったのですが、「元の素性を活かすため、いじってないようでいじってる」という、意味深な言葉がありました。私は率直にこれはすごいのがでてくるなぁと直感したのです。つまり和食は下ごしらえが仕事の大半を占めます。そういった背景がこの言葉のすべてだとゾクゾクしながら聞いていたのです。
ここからが牛肉料理です。
一品目は、オークリーフ牧場のホワイトヴィールです。じつは直前まで熟成肉を予定していたのですが、タイミングよくホワイトヴィールの入荷があり、イルジョットの高橋シェフとLe14e(ル・キャトーズィエム)の茂野シェフにお送りしたのです。となると義弘さんならこれをどう料理するのかな?…と好奇心がとまらなくなってしまったのです。それぞれまったく違うテイストになるのは百も承知ですが、食べ比べてみたいという欲求が直前ですり替えてしまったのです。
義弘さんが何度も口にしていたのが、いままで触ったことがない感触で手で持つとポヮンポヮンといった不思議な感じです、とのこと。義弘さんはタタキにしてくれたのですが、みりんと米酢で3日マリネされ、万願寺唐辛子のジュレとあわせ、梨が添えられていました。焼いて冷やすだけのタタキではなく、ここまで手を加えたタタキはもちろん初めてですし、二重ににも三重にも味を積み重ねた奥深さに思わず目をつぶってゆっくりと味わったのでした。
丁寧につくられた万願寺ジュレのやわらかな苦味が、ホワイトヴィールのミルキーさを引き立てます!また、たたき表面の上品な火入りぐあいの触感もアクセント。加えて梨の触感と甘さ、みりんや米酢の旨味がほんのり加わり、この一皿にかかる手間がどれだけ膨大であるかに感動してしまいました。(グロッシー:北村貴さん)
2品目は、近江牛ラムシンのトマト〆です。
低温で焼いたトマトをペースト状にしてしめたもので肉も旨味がギュッとつまった感じでした。軽い酸味と2つの旨味が重なった肉の下には、ずんだ餡が引いてあります。更に添えられた茄子が、口中調理用の水分を補ってくれる感じでした。ギュッ、ぽそっ、じゅわっという水分バランスの妙を強く感じた一品でした(グロッシー:北村貴さん)
三品目は、近江プレミアム牛のミスジですが、私的にはこれが一番興味深かったのです。ミスジはあまり数量がとれないことから「幻の・・・」なんてバカげたことを言われていますが牛肉なんて部位を細分化すればすべて希少なんです。売らんがための誇大コピーでしかないのは勘のいい人なら分かっているとは思いますが、じつは個人的にミスジはあまり好きではないのです。味が単調なうえにサシが入ればカルビのようにくどいですしね。そして、この近江プレミアム牛のミスジは期待を裏切ってA5並のサシが入ってしまったのです(実際の格付けはA3です)
義弘さんならこのミスジをいったいどうするかなと….. けっして私が意地悪ではないので誤解のないように(笑)
肉を口元まで運ぶと、ん?… 香り付されているとすぐに気づきました。お隣の北村貴さんも「熟成肉じゃないですよね?」と聞いてきたほどです。ここからはまたまた北村貴さんの感想です。
「番茶の香りがついて出てきてこれまた、ビックリ致しました。みりんと酒でやはりマリネされたと。表面のかりっとした焼き具合には、糖分が一役かっているようです。新保さんに、これは熟成肉じゃないですよね?と思わず聞いてしまう程の番茶による芳醇な香り。更にこの日最も気になった技が、添えられていた酢蓮根の苦味。最後に若主人に『あの苦味はわざとなんですか?』と伺うと『はい』と。やはり…!
実はお肉は3切れだったのですが、2切れ目を食べたときに最初に感じたあの素晴らしい香りがしなくなってしまったのです。あぁ、やはりあの味は一度きりか…と思って隣の酢蓮根を口に含んだところ、苦味と酸味で、口に残る脂分と味覚がリセットされたのですね!また3切れ目にはあの素晴らしい味と香りが戻ってきたのです!なんとなんと!なんと素晴らしき体験」
この日の参加者は北海道や高知から30名のみなさんが参加してくださったのですが、「これボクが焼いたものです」と偶然にも伊藤南山先生の湯呑茶碗がでてくるなど縁つなぎのような肉Meetsでした。
ご参加いただきましたみなさま、そして義弘さん、ありがとうございました。
【瓢亭について】
創業天保8年(1837年) 14代続く老舗の料亭 「
瓢亭の歴史は約400年前にまでさかのぼり、南禅寺境の
幕末の元治元年(1864)に、当時の観光ガイドブック
当時のままの姿が守られています。
お隣には、一般公開されている美しい庭園の「無鄰庵」が
この地は東海道の裏街道すじであったことから、旅人はこ
■高橋義弘ブロフィール・・・・・
京都 瓢亭 15代 若主人
1974年、瓢亭14代当主の高橋英一氏の長男として生
関連記事
-
東海大学 草原あか牛”eco-beef”ASO 経産牛セミナー
東海大学農学部では、阿蘇地域の風土・文化特性を活かした肉用牛生産体系「草原あか牛”eco
-
11年目のびわ湖BBQ,今年は熊本県産の黒毛和牛で参加者大興奮!ランイチからイチボとランプとラムシンの違いを楽しみ、愛農ナチュラルポークのトンカツまで登場
なんとなく仲間が集まってBBQすることって別に珍しいことではないと思うのですが、中小企業の経
-
10/15の肉Meetsはお泊りです
飼料(エサ)の影響って大きいですね。「私たちが食べている動物がなにを食べているかで私たちの健
-
MIIKU 一般社団法人日本味育協会からお知らせ。僕はプロフェッショナルコースで肉の講師を担当しています
皆様 本年も残す所あと僅かとなりましたね。 今年は味育協会では初めて3月19日に『3
-
赤身2種類、霜降り1種類を見事に料理していただきました
親しくさせていただいている日本料理のお店に無理を言って肉を持ち込ませていただいた。ここのご主