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瓢亭15代若主人高橋義弘さんが創りだす和の世界観

公開日: : 2014/09/13 イベント

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第30回目となる肉Meetsは、京都南禅寺の瓢亭さんで開催しました。瓢亭さんといえば日本を代表する京料理の老舗。その瓢亭さんで牛肉???

回お料理を担当してくれるのは、瓢亭15代若主人の高橋義弘さんです。義弘さんとは以前から交流があり何度かお店にも足を運んでいるのですが、4/18にジビーフと近江牛の熟成肉を持ち込んで料理していただきまして、イタリアンやフレンチとはまた違った視点、発想で驚きと共に和食の料理人が牛肉を扱ったらこうなるのかと度肝を抜かれました。とにかく丁寧な料理で下ごしらえにかなりの時間を費やしていただいたのが料理を見て分かりました。大袈裟ではなく牛が喜ぶ顔が浮かんだほど感動したのです。

そんな経緯から肉Meetsを開催することになったのですが、以前、なにかの雑誌で義弘さんが「京料理とは何か?」という問いに、遠慮がちにも「日本の全文化の集約したものだと思います」と答えていたのを記憶しています。

人間にとって不可欠である「たべること」。どんなものを美味いといって食べるのか。高橋義弘さんは400年の伝統を守りつつ、新しいことにも果敢にチャレンジし、やまけんさん主催の「赤肉サミット」などで披露した肉焼きは業界の方々に高い評価を得ました。というわけで、当日は義弘さんのガストロミーな料理を参加者全員が悶絶するほど堪能したのでした。それはご参加いただいた人のこの顔をみていただければどれほど満足だったのかお分かりいただけるかと思います。

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肉Meetsですから、肉がメインなわけですが、せっかくの機会なので名物の瓢亭玉子を初めとする瓢亭料理を前半に、そして後半は牛肉を… なのですが、私が義弘さんに預けた牛肉はかなり悩むであろう3品です。

一品目:木下牧場の近江牛ラムシン(赤身)

二品目:ホワイトヴィールのランプ

三品目:近江プレミアム牛みすじ(霜降り)

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最初に義弘さんから料理の説明があったのですが、「元の素性を活かすため、いじってないようでいじってる」という、意味深な言葉がありました。私は率直にこれはすごいのがでてくるなぁと直感したのです。つまり和食は下ごしらえが仕事の大半を占めます。そういった背景がこの言葉のすべてだとゾクゾクしながら聞いていたのです。

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ここからが牛肉料理です。

一品目は、オークリーフ牧場のホワイトヴィールです。じつは直前まで熟成肉を予定していたのですが、タイミングよくホワイトヴィールの入荷があり、イルジョットの高橋シェフとLe14e(ル・キャトーズィエム)の茂野シェフにお送りしたのです。となると義弘さんならこれをどう料理するのかな?…と好奇心がとまらなくなってしまったのです。それぞれまったく違うテイストになるのは百も承知ですが、食べ比べてみたいという欲求が直前ですり替えてしまったのです。

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義弘さんが何度も口にしていたのが、いままで触ったことがない感触で手で持つとポヮンポヮンといった不思議な感じです、とのこと。義弘さんはタタキにしてくれたのですが、みりんと米酢で3日マリネされ、万願寺唐辛子のジュレとあわせ、梨が添えられていました。焼いて冷やすだけのタタキではなく、ここまで手を加えたタタキはもちろん初めてですし、二重ににも三重にも味を積み重ねた奥深さに思わず目をつぶってゆっくりと味わったのでした。

丁寧につくられた万願寺ジュレのやわらかな苦味が、ホワイトヴィールのミルキーさを引き立てます!また、たたき表面の上品な火入りぐあいの触感もアクセント。加えて梨の触感と甘さ、みりんや米酢の旨味がほんのり加わり、この一皿にかかる手間がどれだけ膨大であるかに感動してしまいました。(グロッシー:北村貴さん)

2品目は、近江牛ラムシンのトマト〆です。

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低温で焼いたトマトをペースト状にしてしめたもので肉も旨味がギュッとつまった感じでした。軽い酸味と2つの旨味が重なった肉の下には、ずんだ餡が引いてあります。更に添えられた茄子が、口中調理用の水分を補ってくれる感じでした。ギュッ、ぽそっ、じゅわっという水分バランスの妙を強く感じた一品でした(グロッシー:北村貴さん)

三品目は、近江プレミアム牛のミスジですが、私的にはこれが一番興味深かったのです。ミスジはあまり数量がとれないことから「幻の・・・」なんてバカげたことを言われていますが牛肉なんて部位を細分化すればすべて希少なんです。売らんがための誇大コピーでしかないのは勘のいい人なら分かっているとは思いますが、じつは個人的にミスジはあまり好きではないのです。味が単調なうえにサシが入ればカルビのようにくどいですしね。そして、この近江プレミアム牛のミスジは期待を裏切ってA5並のサシが入ってしまったのです(実際の格付けはA3です)

義弘さんならこのミスジをいったいどうするかなと….. けっして私が意地悪ではないので誤解のないように(笑)

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肉を口元まで運ぶと、ん?… 香り付されているとすぐに気づきました。お隣の北村貴さんも「熟成肉じゃないですよね?」と聞いてきたほどです。ここからはまたまた北村貴さんの感想です。

「番茶の香りがついて出てきてこれまた、ビックリ致しました。みりんと酒でやはりマリネされたと。表面のかりっとした焼き具合には、糖分が一役かっているようです。新保さんに、これは熟成肉じゃないですよね?と思わず聞いてしまう程の番茶による芳醇な香り。更にこの日最も気になった技が、添えられていた酢蓮根の苦味。最後に若主人に『あの苦味はわざとなんですか?』と伺うと『はい』と。やはり…!
実はお肉は3切れだったのですが、2切れ目を食べたときに最初に感じたあの素晴らしい香りがしなくなってしまったのです。あぁ、やはりあの味は一度きりか…と思って隣の酢蓮根を口に含んだところ、苦味と酸味で、口に残る脂分と味覚がリセットされたのですね!また3切れ目にはあの素晴らしい味と香りが戻ってきたのです!なんとなんと!なんと素晴らしき体験」

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この日の参加者は北海道や高知から30名のみなさんが参加してくださったのですが、「これボクが焼いたものです」と偶然にも伊藤南山先生の湯呑茶碗がでてくるなど縁つなぎのような肉Meetsでした。

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ご参加いただきましたみなさま、そして義弘さん、ありがとうございました。

【瓢亭について】
創業天保8年(1837年) 14代続く老舗の料亭 「瓢亭」 ミシュラン★★★
瓢亭の歴史は約400年前にまでさかのぼり、南禅寺境の腰掛茶屋として創業。
幕末の元治元年(1864)に、当時の観光ガイドブックのような書物、『花洛名勝図会』に瓢亭が既に描かれており、その絵が現在の店の姿に近いというのですから驚きです 。
当時のままの姿が守られています。

お隣には、一般公開されている美しい庭園の「無鄰庵」があります。無鄰庵も先ほどの花洛名勝図会に載っており、当時は丹後屋さんという湯豆腐屋だったそう。無鄰庵の庭園の池は近くを流れる琵琶湖疏水から水を引いていますが、瓢亭の池はこの無鄰庵から水を引いています。

この地は東海道の裏街道すじであったことから、旅人はここで旅衣を更え草鞋を新たにして、三条大橋へ向かったものでした。

■高橋義弘ブロフィール・・・・・
京都 瓢亭 15代 若主人

1974年、瓢亭14代当主の高橋英一氏の長男として生まれる。大学卒業後、金沢の「つる幸」で3年修行を積み、99年帰洛。日本アカデミー会員。フランス人シェフのアランデュカス等と料理のコラボレーションも図り、国内外問わず京都の懐石料理を伝え食育にも力を入れている。

 

 

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