焼き方によって部位を変えてみる
公開日:
:
2014/07/13
熟成肉
8月までは毎週のように東京出張があり、一昨日も日本橋で一泊して地震で飛び起き、それから眠れなくなり、あ、そういやRestaurant愛と胃袋に16産した経産牛「のぞみ号」と実験的に180日ドライエージングした鹿児島県産の経産牛が届いているはず、ということでランチの予約をしたわけです。ちなみに180日ドライエージングは、さすがに長期熟成なので微生物学検査に出し陰性の証明書を付けています。
のぞみ号は歯ごたえがありガシガシ感がなんともいえない美味で、牛肉とは本来こういう味なのだということを改めて感じた次第です。一方、180日ドライエージングもけっして柔らかくはないのですが、のぞみ号を食べたあとだと柔らかく感じてしまいます。驚いたのは噛みしめると肉の繊維が確認できるほどしっかりとエージングがかかっていました。ただ、不思議なことに強烈な熟成香は感じられず微かに香る程度でした。牛肉は奥が深い、だから楽しくて飽きないのです。
これなんだと思いますか? … 正解は、コロッケで信作シェフの自信作です。気になる方はぜひ愛と胃袋へ。マジでおいしいですから。
さて、愛と胃袋を後にして急いで滋賀へ帰って牛の選定です。じゃがポークも入荷しているとの連絡を受けているので試食も待ってます。愛農ナチュラルポークが2か月出荷がないので、さすがに豚で商売していないにせよお客様に迷惑がかかってしまうので、ここしばらくは豚探しをしていたのです。それでようやく北海道のじゃがポークを見つけたというわけです。一般販売も予定していますが、まずは試食です。
サルティンボッカで焼いてもらったのですが、それなりにおいしかったというのが率直な感想です。どうしても愛農ナチュラルポークの味が私の基本になっているので、残念ながら上回ることはできませんでした。ただ、愛農ナチュラルポークは別次元の豚と捉えるならばじゃがポークのレベルも高いと感じました。こちらはページができ次第販売させていただきます。
焼き方はまったく同じでも、こうも味が違うものなのか。多少の個体差はあるものの、なぜ愛農ナチュラルポークがこうもおいしいのか、正直まったくわからない。特別なエサを使っているわけではなく、たしかにビジネスで飼っている豚ではないので、ストレスはさほどかかっていないだろう。しかし、ストレスという点だけでいえば、じゃがポークは完全放牧なので、こちらのほうがノーストレスのはず。う~ん、わからない。
もひとつサルティンボッカで気になっていたことがありまして、木下さんの牛を限定にしているので格付けはまちまちです。A4のときもあったりA3のときもあります。もっと厳密にいうならば、A4-5(BMS:霜降り度合)のときもあればA4-6のときもあるわけです。
部位はランイチですが、サシの度合いによって味は変わらなくても脂が重いのです。木下さんの肉はサシが入っていても比較的食べやすいのですが、私は個人的に好みではないのです。1切れ程度ならいいのですがガッツリ食べたい派なので赤身が強い肉が好みなのです。
ランプは赤身が強いので問題ないのですが、サシが入りやすいイチボにくどさが残ってしまいます。これはあくまでも私の咆哮の問題ですが、自分の舌を基準とした商売をしていますので木村シェフに部位の変更をお願いしたのです。
私的には、木村シェフの火入れをカウンター越しにみていると、ランプより内ヒラ(ウチモモ)のほうが肉のポテンシャルを引き出せるのではないかと感じたのです。本当はソトヒラをやってほしいのですが万人受けしないと思うのでここは内ヒラがいいかなと。
結果は案の定というか、かなりおいしくいただくことができました。おそらく他のお客さんはイチボでも満足していたと思うのですが、少し歯ごたえのある内ヒラをより気にいっていただけるのではないかと思います。
内ヒラは、すき焼きやしゃぶしゃぶに適していて、以前ならユッケやタタキに最適でした。肉屋の発想では内ヒラをステーキにするという発想はないと思うのですが、硬い肉は無理やり柔らかくするのではなく、硬さを楽しむぐらいが肉好きには喜ばれると思うのです。もちろん歯が通らないほど硬い肉はNGですが、内ヒラのガシガシ感、かなりおいしいです。
※販売情報
長らく売切れていました「近江牛熟成肉」ですが、本日より再販しております(→)
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