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肉質が硬いソトモモこそじつはおいしい

公開日: : 2014/04/04 商品

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たまにお肉の講演を頼まれることがあるのですが、部位の説明はてっとり早く男性スタッフを牛にみたててやるわけです。私の話しが長くなると牛モデルは手足をぶるぶるさせるのですが、その姿が産まれた直後の子牛にそっくりなのです。そこから牛のお産について、繁殖農家と肥育農家の違いなど・・・私の鉄板ネタです(笑)

部位の説明で私が特に力が入るのがモモです。モモは、ソトヒラ(ソトモモ)、ウチヒラ(ウチモモ)、ランプ(ランイチ)、マル(シンタマ)の4部位に分かれますので、各部位の特徴なんかを話し始めると結構時間をとってしまいます。

4部位のなかでも、商品価値が低いのがソトヒラになります。牛肉は「硬い=商品価値が低い」とみなされるので4部位のなかで最も運動量の多いソトヒラは、料理人たちにとって使いづらい部位なのです。

肉のきめは粗く、肉質は硬いので料理方法としては、薄切りにしてすき焼きやしゃぶしゃぶ、煮込みに使われることが多く、ステーキに使う方は少ないと思います。肉屋の使い方としては、イチボ側はスライス、端材は焼肉やカレー、ミンチとして使うのが一般的でしょうか。

私の場合、硬さもその部位の味わいと考えてますので、スライスや焼肉に使います。ガシガシの赤身の場合は、ドライエージングさせるので、仕上がり後はステーキとして商品化しています。

レストラン向けに4部位をモモセットとして販売していますが、ソトヒラだけは使いこなせていないのが現状です。

数年前ならソトヒラをステーキに使うなんて言語道断、あり得なかったのですが、火の入れ方でソトヒラがおいしくなることを教えてくれたのがイルジョットの高橋シェフです。エージングさせていないランプ肉と同等の柔らかさでなおかつ、旨味はソトモモのほうがあるので、火入れさえ完璧にやれば、かなりおいしいステーキを安価で提供できるというわけです。

ビジネス的には需要の多いランプやウチヒラを高く値段設定すれば、ソトヒラは安価で販売することが可能になります。なおかつ赤身志向のお客様にも喜ばれますので、まさしく三方よしというわけです。

写真はソトヒラの「マクラ」ですが、サーロインよりも味があって食べ飽きないのが魅力です。ソトヒラを小割すると、「ハバキ」「シキンボウ」「ナカニク」の三つに分かれます。牛肉の部位っていつからこんなに複雑な呼び名がついたのだろうと常々思いますが、関東と関西では呼び名が違ったりするので、ほんとややこしい。

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写真写りが良くないのですが、高橋シェフは「ハバキ」を煮込みに使っておられます。食感はスネに近く、こちらも抜群においしいです。

欧米では、ソトモモを多く使う料理があるようですが、日本ではまだまだですね。おそらく硬い肉を受け入れられない文化が根付いているのでしょう。「和牛×サシ=柔らかい」ですからね。

リーズナブルな価格帯のレストラン、特にイタリアンバールあたりはソトヒラを強くおすすめしますがいかがでしょうか。

 

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