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長崎島原の花房和牛(経産牛)は心が豊かになるおいしさだった

公開日: : 2013/03/23 未分類

花房和牛(奥左:トモサンカク屠畜後13日目、奥右:トモサンカク屠畜後40日目、手前サーロイン)

花房和牛(奥左:トモサンカク屠畜後13日目、奥右:トモサンカク屠畜後40日目、手前サーロイン)

最近とってもうれしい電話をいただいた。関東でワインをメインにした飲食店を経営している方で、私のブログやサイトをご覧いただいてぜひ話を聞いてみたいとのことだった。牛肉にも力を入れているようで、食べログの評価(アテにならないが)もかなり良いものだった。

すでに取引が始まっているのだが、近江牛でも松阪牛でもなんでも良いとのこと。もっと言えばホルスタインでも輸入牛肉でも良くて、ようは私(新保)が良いと思った肉を送ってほしいというのだ。

お店のことや現在提供している肉のこと、ワインのこと、お客さんのことなど1時間ぐらい話しをお聞きして、最終的に私がこのお店に提案させていただいた肉は近江牛ではなかった。

近江牛ならすべておいしいかというと、もちろんそんなことはないしあり得ない。共進会(枝肉のコンテストみたいなもの)で入賞するような牛を作っている生産者はこのあたりを大いに勘違いし、ブランドにあぐらをかいているような傲慢さも見受けられる。

当店の契約牧場の牛は月に2~3頭程度の出荷しかないため、当然、他の生産者の牛も仕入れるわけだが、もちろん「だれ」が育てたのかを最も重視している。基本的に会ったことがない生産者の牛は仕入れないし、たとえ会ったことがあってもA5を目指した肥育をしている生産者の牛は触りたくない。生活のためには10円でも高く売れる牛を作ることが生産者にとっては最良であり最善なのは理解できるのだが、私の考え方は少し違う。このあたりは過去にかなり書いてきたし、これからも機会があれば書くと思う。私がサシを嫌う理由(→クリック
正しくはサシが嫌いなのではなくて飼い方に問題アリ

さて、書きたいことからどんどん離れていきそうなので、そろそろ今日の本題に入りたいと思う。日本には数えきれないほどのブランド牛が存在する。なにも近江牛や松阪牛、神戸牛だけがブランド牛ではない。先にも書いたが、名だたるブランド牛でもおいしくないものもあるのだ。それよりも、名もないだれも知らないような牛肉が意外とおいしかったりするのだ。

長崎県南島原市加津佐町に綾部畜産という経産牛専門の農家さんがいる。花房和牛というブランド名をつけて販売もしているようだ。綾部さんは、自分ちの肉しか食べたことがないので、これが本当においしいのかどうかが分からない、つまり比較しようがないので第三者の私に試食して率直な感想を聞かせてほしいというのだ。

花房和牛のホームページをみると、こんなことが書かれていた。

花房牧場では豆腐粕を使ったこだわりの配合飼料を自家配合しています。一般的に肉用牛は大きく育てるために、また霜降りがよくはいるように穀物中心の配合飼料を与えます。また繁殖牛は長く健康で子牛を生むために稲ワラや草などで育てます。配合飼料にはトウモロコシや大麦などそのほとんどが輸入穀物です。しかし、花房牧場ではなんと自家配合飼料の中身の半分ほどを県内の豆腐工場からでる豆腐粕を使用します。そのほか近所の精米所からでる米ぬかや九州産の麦などを利用して繁殖牛用はもちろん、肉用牛の餌もこだわりのレシピで製造販売しています。綾部畜産ではこの配合飼料を与えています。また粗飼料(稲ワラや牧草など)は100%地元産の稲ワラを与えており地域の資源を大切にしています。

私の考え方と一緒ではないか!しかも、私と木下さんが行っている取り組みと似ているし、あ、だから私に試食してほしいと言ってきたのかと・・・とまぁ、そんな経由があり、昨日届いたばかりの花房和牛を早速試食してみた。

官能検査ができればいいのだが、結構大変なことになるので、近江牛の経産と鹿児島県産の経産、そして花房和牛の3種類をブライングテイストを交えながら試食することにした。

たくさん送っていただいたので、残った肉はパリのル・セヴェロ風にフライパン焼きで食べてみることにした。

たっぷりのひまわり油を使用して、高温で揚げるように焼くあのやり方だ。

IMG_6114火入れ

スキレットを傾けて、油だまりで揚げて焼くため、油がよく跳ねるので要注意。
ジュウジュウとそれはすごい音がするので、気分が高揚してなぜか興奮する。
あ、そうか、肉を焼くという行為は興奮すると言うことなのかと、妙に納得しながらカメラを近づけた瞬間・・・

IMG_6174

手に高温の油がかかり、カメラを床に落としてしまったのだ。あぁー、私の大事なEOS Mが・・・フライパンの中じゃなくってよかった。

IMG_6224

焼き終えたらひとまずクールダウン。たぎる肉汁が落ち着き、余熱が全体的に均一感をもたらす。そして最後に、塩と黒胡椒をふる。私は焼く前にはふらずに焼いたあとにふるようにしている。

IMG_6252

中はこんな感じ。この焼き方の特徴は3層構造の肉の食感の対比が楽しめる。

ご覧のように肉の繊維がよくわかる。サシのある肉ではこうはならない。

ご覧のように肉の繊維がよくわかる。サシのある肉ではこうはならない。

この焼き方に適した肉は、サシのない赤身肉、しかも硬めの肉がおすすめだ。
肉の周りをカリカリに、中をレアに仕上げるので、噛みしめたときに溢れでる肉の旨味を感じるには赤身肉がベストなのだ。しかもけっこう厚みがあればあるほど上手く焼きあがる。

[試食の感想]

トモサンカク屠畜後13日目:肉質は硬めで味が少し薄かった。近江牛の経産牛と比較したが断然こちらのほうがおいしかった。再肥育しているからだと思うのだが。

トモサンカク屠畜後40日目:13日目の肉と比べると味に深みがあり、歯ごたえがあるわりにはあまり硬さを感じることはなかった。

サーロイン:3種類のなかでは一番おいしかった。けっこうサシが入っているので驚いたが、A3ということで納得。胃にやさしくクドさがなかった。ものすごく柔らかいということはなかったが、甘さがあり、香もよく、リピートしたい味だった。

綾部畜産の花房和牛を知っている方はどれぐらいいるのだろうか・・・

おそらく皆無、誰も知らないだろう。

近江牛や松阪牛、神戸牛や宮崎牛に代表されるブランド和牛は、それはそれで価値があり、日本を代表するブランド和牛として世界的に評価されつつあるのだが、何度も言うが、格付けに味(おいしさ)は関係ないのだ。あくまでも見た目を評価する「ものさし」でしかないということを知っていただきたい。

A5だからどうのこうのは、売り手が売りたいがための手段であり、本来なら買い手側にはどうでもよいことなのだ。伝えたい相手に伝えたい価値を伝えていくことが、私たちがやらなければいけない正しい情報発信だと思う。

花房和牛のような「経産牛」は、いままでよくて加工品、ほとんどが廃牛扱いされてきた。これは需要がないと生産者側も販売側も思い込んでいただけであり、需要のないところに需要を作ればいいだけのことで、そのやり方の1つとして私はドライエージングに取り組んでいる。

有名なブランド牛もいいが、こういった本当においしい牛肉が日本にはたくさんあることを知っていただきたい。

【イベント情報】

田野畑山地酪農「志ろがねの牧」のボス牛「シチロウ」の肉を食べる会
場所:きたやま南山はなれ
日時:4月25日(木)19時~
シチロウのロース肉を熟成肉にして、クックアンドダインの山口さんが鉄で焼き上げます。ホルスタインの雄牛はマズイと言われているのだが・・・果たして結果は。

 

 

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