最高ランク「A5」が美味しいはウソ?
公開日:
:
2012/06/05
雑記
しばらく音沙汰がなかった業務用の問い合わせが
ここ2~3日で急増している(→クリック)
問い合わせ内容は様々なのだが、10人に8人が「A5」を限定して発注してくる。
A5のトモバラ、A5のクラシタ、A5のヒレ・・・
こんな感じだ。
「A5」という表示は、焼肉店やステーキ店、ホテルの洋食店でもみかけることがあるので
ご存知の方も多いのではないのでしょうか。
意味は知らなくても、「A5=良い肉」というイメージが強くあり、これはグルメ番組や
情報雑誌の影響が大きいかと思われます。
「A5」というのは、そもそも流通や取引きの中での目安であって、「肉の等級」を示す
表記なのです。もちろん、「A5」だけではなく「A4」も「A3」もあるわけです。
「A5」を使っています!とアピールしたがるのは、「A5」が最高の格付けだからなのです。
だからといって、最高等級の「A5」が一番おいしい牛肉なのか、と言うと答えはNOです。
表をご覧いただくとわかるように、「A」「B」「C」の英字は、牛一頭からとれる肉の
割合(歩留まり等級)を示します。
1~5の数字は、大きい数ほどサシ(霜降り)がたくさん入っている(肉質等級)ことを示します。
つまり、「A5」は簡単にいうと、「美しいサシがたくさん入った肉の証明」なのです。
サシが入った肉を芸術的にたとえることがあるが、そういう意味では、「A5」は肉の芸術点といってもいいかも知れません。
一方、生産者側からみた「A5」はどうかと言うと、「A5」に近づくように牛を肥育するのですが
まかり間違っても和牛を「A3」や「A2」になるように育てています、といった生産者はいない
でしょう。
生産者の事情は、高く売れないと経営が成り立たない点が一番大きいのですが
そのためにも、高値で売れる「A5」に近づくよう育てるのです。
「A5」の中には、近江牛や松阪牛のチャピオン牛もいれば、ノーブランド牛もいるのですが
際立つのはブランド和牛ばかりで、ノーブランド牛はなんとかメジャーにしようと一生懸命なのです。
一般的にはほとんど知られていないが、「A5」にはBMS(ビーフマーブリングスタンダード)
という5つの区分があり、脂肪交雑、つまりサシを評価する基準があるのです。(→クリック)
ところが、消費者には、「A5」としか伝わっていないから、このあたりが味との誤差があり
正確性に欠ける一方的な情報の伝え方、乱暴な言い方をすれば操作した伝え方のように思うのだ。
「A5」の肉はくどいから・・・
なにも「A5」を否定しているわけではない。
サシがたくさん入った肉はくどいから食べられない。
そういった声をよく耳にするが、1枚、2枚食べる程度ならおいしくいただける。
個人的には、焼肉よりしゃぶしゃぶにしたほうが食感はいい。
最近の傾向から、赤身肉がブームになりつつあるのだが
実際のところ、肉好きには赤身が多い「A2」や「A3」あたりが向いているのかも知れない。
どちらにしても、消費者は情報に操作されずにおいしい牛肉ライフを楽しんでいただきたい。
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