育てる
公開日:
:
2020/09/22
コラム
サカエヤの採用は23歳まで。最低でも3年は働くことを条件にしています。とは言っても最初の勢いはどこへやら、って子が多いです。いま働いてる大前くんのように、こいつはすぐ辞めるだろうなと思ってた子が意外と続いていたりします。根っこの部分が汚れている子は続かないですね。素直じゃないというか。
僕が若い子を育てる上で大切だと思っていることは基本です。いまどきじゃないかも知れませんが、とにかく基本を大切にしています。人手が足りないからといって、いきなり応用をやらせたらとんでもないことが起こります。技術はもちろんですが、長く仕事するうえでの体力は基本を体に覚えさせることです。いきなり応用から入った子はミスさえも理解できないのです。
サカエヤの若い子たちには、とにかく地味な基本を毎日これでもかと言うくらいやらせています。そろそろ独り立ちさせてもいいかなと思うとまた良くない応用をしてしまう。なので、基本と応用の繰り返しで少しづつ成長していくのです。
たまに他所の子を預かることがあります。いきなり応用から入った子はサカエヤでは苦労します。1日で根を上げる子もいます。
多くの方が勘違いされていますが、肉は誰でも切れます。見様見真似で塊の肉から筋を引いて(とって)カットすればそれなりの形になります。稀にデタラメなカットが功を奏することもあります。素人が数ヶ月焼肉店で働いただけで独立開店後ブレイクしたような店もあります。だから、なにがヒットするかわからないのです。もちろん長続きするかどうかは別です。
僕は「精肉店」という職業に誇りをもっています。永遠に受け継がれていく仕事だと思っています。だからこそ、基本を身につけてこその応用であり、スポーツ選手と同じような感覚で仕事をしています。
基本に忠実な仕事は、筋の引き方ひとつでおいしさが変わります。繊維を理解したカットとそうじゃないカットでは、これまたおいしさが変わります。鍋にすると灰汁の出方がちがいます。基本は仕事にしっかり反映されます。教育するということが難しい時代ですが、どの世界でも、どの業界でも同じじゃないかな。
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