肉を育てるということ
公開日:
:
2020/08/17
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新潟UOZENの井上シェフから7月6日にガンジー牛のロースを預かり、今日でちょうど40日。定期的に試食と検証を繰り返してきましたが、おおよその結論を出すことができました。よく個体差を言う人がいますが、僕はあまり気にしていなくて、それよりも誰が焼くのか、こちらのほうが重要です。
井上シェフが新潟から6時間かけて届けてくれたその日にセジール溝口シェフにまず焼いてもらい、11日目にイルジョット高橋シェフ、20日目は自分で焼き、30日目にふたたびイルジョット高橋シェフ、32日目にブリアンツァ奥野シェフ、37日目にメッシタパーネエヴィーノ藤原シェフに。その間、2度、UOZENの井上シェフにも送って感想をいただいています。おかげでおもしろい結果となりました。まだリブロースが残っているので、こちらは長期熟成にどこまで耐えられるか検証を続けたいと思います。
さて、僕が扱う牛や豚は大量生産から遠く離れ、ゆっくりとした流れのなかから生み出されます。すぐに販売するのではなく、時間をかけて肉の繊維を緩め、味を重ねていきます。そのためには“枝肉“であること。骨付きの肉であること。がもっとも重要です。
ただ、一般的に流通している肉は屠畜解体した枝肉からすぐに骨を外して部位ごとに真空パックしたものがほとんどです。僕の仕事との最大の違いは肉を育てる“時間“です。
僕の仕事は、枝肉や骨付き肉を、14日〜60日かけて熟成させるのですが、ゆっくり時間をかけることで、肉にストレスをかけずに繊維を緩めることができます。一方、枝肉からすぐに骨を外して真空パックにした肉は、余計なストレスがかかり、酸化のスピードも早く香りも変化してしまうのです。骨を外すということは、その作業の工程上、押さえたり引っ張ったりするので、肉が裂けたり傷ついたりしてしまいます。その状態で真空パックにするものだから、理想とはかけ離れた方向に進んでいくのです。だからスライスなど商品化した肉の寿命も短いのです。
僕が仕事した肉が日持ちするのは、枝肉や骨付きのままストレスを与えないように熟成させているからです。気の遠くなるような作業もありますが、手間と時間をかけないとおいしくなってくれない。それが肉を育てるということなんです。
セジール溝口シェフ(届いたその日)
イルジョット高橋シェフ(11日目)
イルジョット高橋シェフ(30日目)
ブリアンツァ奥野シェフ(32日目)
メッシタパーネエヴィーノ藤原シェフ(37日目)
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