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つなぐ人たち

公開日: : 2020/01/26 コラム

レストランを紹介した記事にはこんな表現がよく使われる。

「素晴らしい食材を作る生産者がいて、料理人がいて、サービスする人がいて、食べる人がいる」

まぁそうなんですが、ここに「つなぐ人」はいない。忘れられてるわけではないと思うんですが、いつも抜けている。そんなこといいだしたら、と畜する人がいて検査する人がいて運ぶ人がいて、、キリがない。

ごもっともです。

むかしむかし、飲食店は肉屋(精肉店)から食肉を仕入れていました。20年くらい前からスーパーが増え始め個人の肉屋が減少し始めました。生き残りをかけて、売り上げが望めるスーパーにテナントとして入店する同業が増えたのもこの頃。シャッターが下りた商店街に見切りをつけたり、とにかく肉屋が成り立ちにくい状況に追い詰められていったのです。魚屋も八百屋も同じくです。

となると、肉屋に商品を卸していた問屋は活路を飲食店へと移行し始めたのです。当時の肉屋は荒い人が多かったですから、「うちの取引先になにチョッカイ出しとんじゃい!」てなことが日常茶飯事。問屋としては、「じゃーもっと使ってくださいよ」と、こちらも生き残りをかけてますから必死です。同じ商品ですから肉屋に勝ち目はないわけです。車の代理店とメーカーの関係みたいなものです。

その流れは今も変わっていません。問屋だけではなく、あらゆる食材を扱う食品会社から牛肉を仕入れている飲食店も多いと思います。だから、ここに「つなぐ人」が入らないのかなと思ったりします。

だっておかしいですもん。

「素晴らしい食材を作る生産者がいて、料理人がいて、サービスする人がいて、食品会社がいて、食べる人がいる」

ってねー。

食品会社だけが違和感ありますもんね。別に食品会社が悪いわけじゃないですが、モノを配達するだけですから、背景とか商品知識はあまり必要ないのかもね。

このあたりは使う側の飲食店や料理する人の考え方かな。運営するには利益とらいといけないから、ときとして安価な食材も仕入れないといけない。安価な食材に背景や商品知識は必要ないですからね。安けりゃいい。ただ、安くて良いものなんてないですから、テクニックでなんとかする。それもプロといえばプロなんですけどね。

僕はレストランへ肉を卸していますが、問屋ではありません。だから問屋へ問い合わせする感覚でご連絡いただくと嫌な感じかも知れません。見積もり、サンプル、価格交渉も得意じゃないので、ごめんなさいばかりです。

僕は「手当て」という言葉をよく使いますが、僕が大好きなお鮨屋さんがこんなことを言ってました。

マグロや貝類は素材勝負ですが、光り物は、処理方法などに手をかければかけるほど、美味しくなります。だから、職人としての技を反映しやすいのです。

牛だと、サシの多いA4やA5の肉は素材勝負。赤身のA2や経産牛は手当て次第でおいしくなる。ということになります。

問屋や食品会社の仕事にはない「手当て」が僕の仕事であり、一番重要だと考えています。だから、おいしさは人それぞれの味覚ですが、僕が考える牛肉のおいしさは「手当て」なくしてはあり得ないのです。

「素晴らしい食材を作る生産者がいて、料理人がいて、サービスする人がいる。そして手当てする人がいて、その先に食べる人がいる」

肉屋、魚屋、八百屋、がんばりましょうね。

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