格付け=味ではない
公開日:
:
2019/08/26
近江牛

人間の健康と同一レベルで考えた場合、牛がなにを食べて育ったのかは気になるところ。
いまから18年前、地元の生産者と国産飼料で牛を育てる取り組みをはじめた。当時は大学の先生や研究機関も一緒になり、かなり勉強させてもらった。一介の肉屋が生きた牛から流通、生産者の裏表、農協の実態まで知ることができた。と同時に飼料の怖さも知った。
だから、僕がいま関わっている牛がどれだけ気をつかった飼料を食べているのかがよくわかる。生産者じゃない僕が飼料にまで関われるって凄いことなんです。みなさんが普段食べている牛肉は、10桁の個体識別番号を検索すると、牛が生まれて殺されるまでの情報が確認できます。しかし、飼料の情報は確認できないのです。確認しようがないのです。それが畜産の世界では普通のことなのです。だれも疑わないし興味もない。なのに自分の健康のことは気になる。なんか変ですよね?
料理人連れて生産者のところへ行くと、牛を見て、飼料を見て、こだわりを説明されて、、なんとなく安全な気がします。しゃべりがうまい生産者にかかったらイチコロです(笑)
でもね、見せてるのは一部であり、見えない部分のほうが実は多いのです。だから僕なんかが牧場へ行くとすごく嫌がられます。
みなさん、産地や格付け等級ばかりに目がいきがちですが、公表されない飼料こそ僕は気にしたいです。だから嘘のない信頼できる生産者の牛しか扱いたくないのです。
僕が扱っている牛をみてください。格付けとは無縁です。かといって、僕はけっして否定派ではなく、和牛の業界的には格付けは必要です。生産者の指標、モチベーション、輸入牛との差別化、ランク付けによる値段の区別、まぁ、格付けがあったほうが分かりやすいですしね。僕の肉を買ってる人で格付け気にする人はいませんが、たまにネットから買う人で、グラム4000円でA3ですか?なにかの間違いですよね。
って言ってくる人いるんですが、A4もありますけど、僕は必ず発送前に試食します。それも一切れじゃなく、ガッツリ食べます。いろんなシチュエーションを想定しながら2~300g食べて味と価格をつなぎます。格付けはA3よりA4がランク上ですが、味はA3のほうが断然よかった。だからグラム4000円がA3、グラム2000円がA4、なんてこともあって当然。
格付け=おいしさではない、というのは僕の友人知人なら当たり前のように知ってると思いますが、世間はそうじゃない。A5=おいしさの頂点だと思っている人がたくさん。もちろん、おいしいものもある。それはA3だってA2だって同じこと。それを見極めて価格をつけるのが僕の仕事。
格付けはたんなるものさし。味の区別じゃない。てことで、ラッセ村山シェフの夢が叶う第一歩の肉選び。指定は近江牛でいきたいとだけ、あとは任されました。僕が選んだのはA4の近江牛。もちろん生産者の人柄、背景も加味している。ちょっとサシが気になったがと畜から6日しか経っていないので、逆に繊維が立っていて脂が気にならない。あと14日も置けば脂が回って食べにくくなる可能性もある。

サシがあるので見栄えがよい、とろけない、歯ごたえはあるけど繊維を噛む瞬間が心地よい、香りがよい。+村山シェフで宇宙が近くなるでしょう。
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