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ジビーフカレー近日中に販売します

公開日: : 2015/03/03 ジビーフ(完全放牧野生牛)

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(20年ぐらい前の写真です。昔のブログに残っていました)

昨年末に入荷したジビーフは運送屋の手違いで冷凍便で届けられた。種牛だったこともあり商品としては使えない。赤身が強く解凍すればドリップ(肉汁)が溢れ出てパサパサの肉になってしまう。何人かのシェフにお願いしていくらかは引き取ってもらい料理してもらったのだが量が多すぎて捌ききれない。しかたなくカレーに仕込むことにした。そのカレーができあがった。レシピは以前販売していた「近江牛専門店が極めたカレー」のものを使った。間もなく販売開始です。

さて、カレーというえば必ず思い出す出来事がある。もう何年前だろうか… おそらく20年近くはたっていると思う。ある男性から1本の電話がかかってきた。その男性は、究極のカレーを作りたいとのことで和牛のスネ肉を探し回っているとのことだった。

しかし、思い通りの肉が見つからず、最終的に滋賀県の畜産課に問い合わせして私にたどりついたというわけだ。なぜ、近江牛だったのかはそのとき聞いた覚えがあるのだが忘れてしまった。それよりも県の畜産課の職員はなぜ男性に私を紹介したのか?.. この手の問い合わせは結構多くて邪魔くさいので私に振ったのかも知れない。

男性は電話をしてきたあとにすぐ店舗にやってきた。身長は180㎝を超える大きな男だった。私より年上で背広を着ていた。男性の話しはこうだった。

山梨県の八ヶ岳にカレー作りの名人がいるので弟子入りをお願いしたところ、和牛のスネ肉で最高のものを用意することができれば、考えてもよいと言われたとのこと。男性は廣瀬と名乗り会社を経営しているといっていた。そして、月に10日程度、弟子入り志願のため八ヶ岳を訪問しているとのことだった。

廣瀬さんの最終目的は、カレーショップをやりたいとのことだったが名人が高齢のためあせっているようなことを言っていた。しかし、なかなか快い返事をもらえなく、通って1年目でようやく名人が根負けしたのか条件を1つ出してきた。それは、和牛のスネ肉を用意できれば考えてもよいと言われたそうだ。ただし、名人がそのスネ肉を気にいらなかったら弟子入りの話しはなかったことになるとのこと。

名人が何を試したいのか分からなかったが、私も商売なので近江牛のスネ肉を30kgほど八ヶ岳の店に発送した。別に特別なものではなく、常に在庫している近江牛のスネ肉を送った覚えがある。現地で廣瀬さんが受け取るとのことで代引きで発送した。

それから1ヵ月以上たっても廣瀬さんから連絡はなかった。忘れかけてたある日のこと廣瀬さんから電話がかかってきた。ちなみになぜこうも鮮明に覚えているのかと言うと、当時のブログにこのことが書いてあったからだ。

廣瀬さんから1ヶ月間連絡がなかったのは、八ヶ岳に住み込みでカレー作りを教えてもらっていたとのことだった。ということは、私が送った近江牛のスネ肉を名人が気にいったということだ。たしか名人はかなり昔に鹿児島産のスネ肉が驚くほどおいしくて忘れられないようなことを言っていた。それに匹敵するくらいすばらしいスネ肉をもってきたならその努力をかって弟子入りを許可しようと考えていたらしい。名人は私の送ったスネ肉を絶賛しており、何度かスネ肉を送った記憶がある。しかし長くは続かなかった。理由は後程。

廣瀬さんは当時、40過ぎ(もしかすると50過ぎだったかも)で厨房に1ヵ月寝泊まりして教えを請うとはすごい根性だ。よほど名人のカレーに惚れ込んでいたのだろう。

それから数日がたち、ふたたび廣瀬さんからから電話がかかってきた。交通費、宿泊費を出すから一緒に八ヶ岳に来てほしいと言ってきたのだ。少し興味があったのと、指定された日がなに予定がなかったので行くことにした。

男性とは名古屋駅で待ち合わせをした。一度、うちの店に来ているので廣瀬さんと会うのは2度目だ。名古屋から長野へ行き、駅からレンタカーを借りて廣瀬さんの運転で山梨へ向かった。えらく飛ばすので少し怖かった。1時間ぐらい走っただろうか、宿泊先のホテルに着いた。

すっかり日が落ち、あたりは暗くなりかけだった。夕飯は連れて行きたいところがあるとのこと。チェックアウトから30分後にロビーで待ち合わせると廣瀬さんの友人が迎えに来た。友人は坊主頭のイケメンで有賀と名乗った。名刺を見ると勝沼醸造の専務と書かれていた。

有賀さんの車で向かった先は、カフェ ラ トゥーシェという店で工藤結花さんという素敵なソムリエがいたのを覚えている。

有賀さんは事情を知っているらしく名人が作るカレーをとにかく絶賛していた。1日2回食べるときもあるという。

さて、翌日ふたたび有賀さんの車に乗せてもらって八ヶ岳へ向かった。しかし、なぜ私を八ヶ岳へ連れて行きたいのか?いまさらながら車中で聞いてみたところ、とにかく名人のカレーを食べてほしい。たったそれだけの理由だった。

そして到着したのがロッジ風の建物で「ヴィラアフガン」というカレー屋だった。カレー屋というよりレストランかな。名人はミッキーカーチスそっくりで体調が良くないとのことだった。

ちなみに、ヴィラアフガンはいまも営業はしているようだが名人はいない。事情はわからないが違う方が運営しているようだ。たぶん店をだれかに譲ったのだと思うがもしかすると私が食べたヴィラアフガンの味じゃないのかも知れない。

さて、話を戻そう。到着後、さっそくカレーをご馳走になりながら名人のこだわりを伺った。
話の内容はすっかり忘れてしまったがカレーは普通においしかった。ただ、みんながやいやい言うほどでもなかった。なんか拍子抜けした感じで店を後にし、有賀さんの勝沼醸造へ向かった。

かなりの時間を勝沼醸造で過ごした覚えがある。建物の裏が畑になっていたのを覚えている。川端康成の手紙を見せてもらった記憶もある。この時点で夕方近くなっていたのだがなぜかまたカレーが食べたくなった。

ふたたびヴィラアフガンへ行くのだがまったく同じカレーを食べたのに、今度はものすごくうまく感じた。廣瀬さんが「ほらね」という顔をしていた。もう1杯食べられそうだったが時間も時間なので帰ることにした。

 さて、山梨を後にして滋賀に着いたのは深夜だった。しばらくは廣瀬さんから連絡はなかったのだが、1ヶ月だったか、2ヶ月だったか、廣瀬さんから大きな透明容器に入ったカレーが送られてきた。やっと出来たのか、とわくわくしながらそのカレーを食べてみた。すごくおいしかった。正直、ヴィラアフガンで食べたカレーよりおいしいと思った。

しかし、廣瀬さんは、まだ完成ではないので商品化できないとのことだった。名人には、すべての工程を教えてもらったのだがなにか1つ肝心なことを教えてもらっていないような気がすると言っていた。その「なにか」を見つけるまでは商品化できないというわけだ。

それから、かなりの月日が流れた。

心配になって電話してみると体調を崩して入院していたとのことだった。カレーも一時お休み状態とのこと。と言うか、まったくやる気が感じられなくなっていた。病が気力を奪ったのだろうがあまりにももったいない。それほどおいしかったのだ。

カレーを食べる度にいまでもこのことを思い出す。

 

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