オークリーフ牧場を訪ねて
帯広空港からまず最初に向かった先は、芽室のオークリーフ牧場です。ホルスタインと交雑種合わせて5000頭という大規模な牧場ですが管理しているのはたったの10人というから驚きです。現地へ出向かないと分からないことばかりですが、できるんですね10人でも。
牧場を訪ねるのは2回目になりますが、柏葉社長とはなぜか頻繁にお会いしている気がします。小さな会社を経営する私とは規模は違えど畜産に関する考え方や牛を育てるにあたっての思想がよく似ていていることもあり、仲良くしていただいています。
黒毛和牛で育ち、それを生活の糧としてきた私にとってホルスタインはまったくの別物という位置づけでした。普段の仕事で触ることもなく、それどころか見下していた部分も正直ありました。恐らく私だけではなく黒毛和牛を扱っている関係者は少なからずそういうところがあるのではないでしょうか。肉用としては黒毛和牛がトップでそれを扱っているプライドみたいなものがあるのかも知れません。
畜産関係者は牛のグッズを見つけると買わずにはいられない習性があります。ところが売られているほとんどが白黒のホルスタイン柄のグッズなのです。たまに真っ黒な牛のグッズを見つけると価格を無視して即買いなんてことは黒毛和牛の関係者ならだれもが経験しているのではないでしょうか。
そんな私にホルスタインの良さを教えてくれたのが柏葉社長です。正確には何度も北海道へ足を運んでいるうちに学習したというほうが正しいかも知れません。現在、ホルスタインのTボーン&Lボーンを販売していますが、数年前の私なら考えられなかったことです。ちなみにこのTボーン&Lボーン、かなり評判が良くてレストランからの注文も増え続けています。個人的にも大好きで自分買いするのですが和牛の霜降り肉には戻れないなぁという感じです。30日間ドライエージングさせるのですが、これで味がグッと良くなり、熟成肉ブームをせせら笑う正しい熟成のさせ方って感じです。
今回、オークリーフ牧場を訪ねた目的は、今月から扱わせていただいているホワイトヴィールの視察です。オークリーフ牧場では生後150日~170日のミルクしか与えていない仔牛のことをオークヴィールとして出荷しています。とはいえそれほど頭数がいるわけではなく、まずは月に1頭ペースで仕入れさせてもらって当店の取引先に案内していく予定です。
柏葉社長が、「ほんとうにおいしいホワイトヴィールを食べたのは過去に1度だけ」ということをおっしゃっていたので、それならばと9月9日にイルジョットに来ていただき、「ホワイトヴィールを食べる会」なるものを近しい仲間たちで開催したのでした。もちろん高橋シェフですからハズすわけはありません。感動の料理に皆大満足の夜でした。もちろん柏葉社長も少々興奮気味で大変喜ばれておりました。
1頭仕入れたうちの半身は、Le14e(ル・キャトーズィエム)の茂野シェフの元へ届けたのですが、パリ時代に慣れ親しんだとのことで、それはもうお見事としか言いようがないすばらしくおいしい料理に仕立ててくれました。柏葉社長に茂野シェフの「乳のみ仔牛のローストハムとたっぷりサラダ」の写真を見せるとかなり驚かれていました。というのもホワイトヴィールに限らず、牛を1頭買いしたときに一番使いにくいのがバラなんです。
ところが茂野シェフは、ホワイトヴィールの必要部位をお聞きしたときに、ロースやヒレなど使いやすい部位は他のシェフに任せて、ボクはバラをお願いしますと言ってきたのです。そういった話を織り込みながら写真を見せたのですが、そりゃ驚きますわ。生産者の発想を超えているのですから・・・。
ホワイトヴィールは、見た目は牛肉というより豚肉や羊肉に近い色をしています。ミルクフェドなので肉質が緻密で脂肪分が少なく、とにかく柔らかくて一番の特徴は獣臭いがまったく感じられないことです。味は淡白すぎるほどあっさりとしています。欧米では普通の牛肉よりも高級な位置付けでにフランス料理やイタリア料理では古くから使われているようです。
日本でも需要はあるのですが、出回っているほとんどがオーストラリアやニュージーランド産で冷凍流通のものばかりです。一部国産の仔牛も見かけることがありますが事故や病気で淘汰されたものばかりです。私の知る限りでは、安心して使えるのは国産ではオークリーフ牧場のホワイトヴィールだけだと思います。
さて、味の総評ですが、ホワイトヴィールを食べると成牛の肉は食べられなくなるほど衝撃的です。月に1頭の入荷ですが、内臓ともども既存の取引先とページができ次第一般販売も開始します。どうぞご期待くさい。
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