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「食べ方は生き方」という考え方

公開日: : 2014/01/10 雑記

昨年の9月11日にきたやま南山にて行われた放牧アンガス牛を食べる会は今思い出しても感動的だった。東京からわざわざイルジョットの高橋シェフを招いてアンガス牛の肉を料理してもらったのだが、高橋シェフ1人ではなにかと大変だろうとクレメンティアの田淵シェフと内田シェフがお手伝いしてくださり、さらにエーテルヴァインの佐々木さんが自然の牛には自然のワインでしょうとビオワインを一皿ごとに選んでくれたのだった。それはもう見事としか言いようがない素敵なイベントでした。(

その後、放牧アンガス牛について扱いたいとの問い合わせも各方面からいただき、現在調整中なのですが、なにしろ出荷頭数が少ないうえに価格もそれなりにするわけです。草しか食べていないため肉質は赤身が強く、サシの多い和牛に慣れている方からみればとんでもない代物なのです。そこに価値を見いだせる人にしか販売できない狭きマーケットの牛肉といのがホントところの本音です。

しかし、これからの時代は、こういった牛肉にスポットが当たり、それを使いこなせる料理人が間違いなく生き残って行くことでしょう。そこに強烈な顧客が付き、変わり者(笑)の輪が広がっていけばどんなに幸せなことか。もちろんそこを目指しているわけです。

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ここ最近の駒谷牧場の風景です。数日前に西川さんから放牧アンガス牛を1頭出荷すると連絡があった。販売の体制が整っていないので今回は肉を見送り内臓を引き取らせていただくことにした。野生で育ち草しか食べていないアンガス牛の内臓なんて見るのも初めて、もちろん食べたことがない。あ、ハラミは昨年に少しいただいたがいつも近江牛の内臓を食べ慣れているせいか不思議な感じがした。内臓にも味があり体にすーっと馴染んでいく感じがした。

さて、牧場の様子を西川さんがFacebookにアップしてくれているので、Facebookを見れない片にも共有させていただきたいと思う。

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今回出荷する牛はこの牛『8177』。オスです!
勿論、生まれてから今日の今日まで、草しか食べてません。
割とおとなしいので、すんなりトラックに乗ってくれる事を願う!
果たして枝肉重量は何キロか?(西川さん談)

その後の連絡で、枝肉重量は270kgでした。和牛の生産者からすればお金にならない牛であり、時代に逆行するような牛であることは間違いない。現在の和牛はとにかく増体してサシを入れてカネを稼いでくれる牛を作ることがプライオリティとしては1番なのだ。牛のキモチなんてどうでもいい(そりゃそうだが)、、、

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『NO 8177、去勢、21ヵ月令。性格は温厚で人懐っこく、近づいても逃げることはないが、中々勘が鋭く抜け目ない。』
生まれて初めてモクシを付けられ、トラックに積まれて行ってしまいました。
何とも言えないこの気持ち…
産業動物の宿命とは言え、やはり複雑です。
この牛を食べてくれる方々の『生きる力』となって頂ける事、ただそれだけを願って送り出しました。(西川さん談)

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食べてくれた方々の『命』となって、生き続けてね!(西川さん談)

西川さんは、「数知れない程の命あっての今の自分。『食べ方は生き方』そのものだと思うんだ」ともおっしゃっています。

肉牛は経済動物でありペットのような伴侶動物ではありません。感傷に浸っている暇はありません。良い牛を作って高く売る。これが肉牛農家のビジネスです。

もちろん正解ですし否定する余地もありません。しかし、私たちはカネのやりとりだけではなく「こころ」のビジネスをしたいのです。そこに繋がってくれる料理人や消費者の方々と一緒に感動や喜びを分かち合えればどれほど心が穏やかになれるか。

うまく表現できませんが、体制が整い次第、放牧アンガス牛のステーキや焼肉など、ご家庭でも食べられるように仕立てて販売していきたいと考えています。昨今、私の周りには難治性の病気で食に困っている方がたくさんおられます。そういう方たちに安心して食べられる牛肉を提供できればと思っています。

すでに満席になりましたが、写真の放牧アンガス牛の内臓を三軒茶屋のレストラン「愛と胃袋」で肉Meetsやります。当日の模様は追ってブロブでご報告させていただきます。

 

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