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産地ブランドから個人ブランドへ

公開日: : 2013/08/11 わくわく定期便

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先日、財布を買いまして、そこそこの値段だったので結構悩んだのですが、自分へのご褒美だと無理やり理由をつけてエイヤーで買ってしまいました。とっても素敵な財布なのです。ところが・・・

ある方に世界一の革職人を紹介するといわれて、興味もあり工房へ寄せていただいたのが先月のことです。なにをもって世界一なのか、これは感性の部分でもありますが、私は常々、競技のように記録にこそ残らないが、すばらしい仕事をする職人さんはみな世界一だと思っています。

で、実際にお会いして、財布をオーダーしたのです。買ったばかりなのにですよ。正確にいうと、この人が選んだ革でこの人に財布を作ってもらいたい、この人が作った財布を持ちたいと思ったのです。

でもね、世界一はすぐには作ってくれないんです。デザインをおこしてあれやこれやと打ち合わせをやるわけです。さらに、いつできるかもわからない。そういえば値段も聞いていない。普通こわいでしょう。でも、わくわくするんです。

私が肉の世界に入ったのが19歳のとき、とにかくデキが悪かった。記憶力は悪いほうではないのだが教えてもらってもすぐに忘れる。最初は洗い物ばかり、そしてようやくハムやソーセージの原木をスライサーでカットさせてもらえるようになり、その後はミンチを挽いたり焼豚や加工品をまかされるようになった。

時間があれば先輩たちが捌いた骨をせせるのが私のもう1つの仕事。きれいにせせったらオマエの給料くら出るんやぞ、とか言われながら、心の中ではこんな雑用みたいなことさせやがってと嫌々やっていたのを覚えています。肉屋でいう「捌く」とは、枝肉から骨をとる作業のことをいいます。骨についた肉を捌き包丁(短刀)でとりながら骨の形を覚えていくのです。来る日も来る日もこればかり。こんなことしていて骨の形なんて覚えられるのかと。

同時に捌きも日課になり益々辛い日々が・・・

あるとき、人手が足りなくて肉場を担当することに。追いまわしの仕事です。すると、意外とできるのです。頭は悪いが手が覚えていたのです。来る日も来る日も嫌々やっていた骨との格闘で自然と部位や骨の特徴を手が記憶していたのです。

無駄なことさしやがってと思っていたことが、結局は一番大事なことだったのです。このことに気づいたのは私が独立した27歳のころです。気づくのに時間がかかったのは私の頭がよくないからです。

いまは肉の流通も大きく変わってしまい、捌きをする肉屋はほとんどありません。問屋が捌いて真空パックにして流通させるので使うほうは楽です。最近ではこれをウェットエージングと呼んでドライエージングと対比されますが、なんのことはない、ウェットエージングは真空パックした肉のことです。日持ちするので便利ではありますが、味を損なうリスクがあります。

「仕事とは追求し続けることである」とは、ある方の教えなのですが、先日、革の職人さんと食事をしたとき(写真)、とにかく革のことを話し出したらとまらないんです。それでもボクは革のことはそれほど詳しくはないと言い放つカッコよさは追求し続けているからなのでしょうね。

いままで会ったこともない人に鞄や財布を作ったことはありますか?

私の質問に、1度もないと即答してくれました。何度かお会いして要望を聞きながら良いものを作りたいからと。そして3年に1回は送ってもらうようにしているのだそうです。革の状態を確認したいんだそうです。どうですか、どうせならこういう方からモノを買いたいと思いませんか。

ここ1年、いろんな方とお会いして感じることは、「産地ブランドから個人ブランドへ」シフトしているなと。当店のわくわく定期便もありがたいことにそういった傾向が見受けられます。近江牛じゃなくても新保さんが選んでくれた肉ならなんでもいいよ、とプレッシャーを与えてくれるお客様がたくさんおられます。いつもありがとうございます。

ちょっと気の早い話ですが、肉屋の繁忙期は年末年始です。とにかく忙しくて稼ぎ時ではあるのですが、仕事の量が多すぎてどうしても丁寧さを欠いて作業になりがちです。今年は受注を半分くらいに抑えてより丁寧な商品作りをしたいと考えています。新保さんから買ってよかったと言ってもらえるように。というわけで、今年の年末年始のお肉はお早目のご予約をお待ちしてまーす。

って、40度を超える暑さにボケたのかと言われそうな今日の投稿ですね^^;

 

 

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