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田野畑山地酪農「志ろがねの牧」のボス牛「シチロウ」肉になる

公開日: : 2013/03/12 雑記

きたやま南山の元店長、春菜ちゃんの嫁ぎ先、田野畑山地酪農(岩手県)にシチロウという名前の種雄牛がいる。正確には屠畜されて肉になったので「いた」ということになるのだが、昨日、シチロウの内臓を試食させてもらった。

乳牛の場合、雄はおっぱいがでないので去勢して太らせて肉にするのですが、シチロウは種牛として生きてきたのでタマアリなのです。去勢していない雄牛は、性格が荒くてとても危険。そんなシチロウはまるで闘牛を連想させるような暴れ牛。人間が近寄ると土を蹴り上げて威嚇するとか・・・あぁ怖っ

春菜ちゃんのFacebookウォールにこんなことが書かれていた。

昨日、お兄ちゃんがシチロウに襲われて、間一髪で怪我がなく済みましたが本当に危なかったです。雄志が勇気を出して鉄棒を投げてなんとか収まったそうですが・・・

もうすぐ出荷のタイミングで、自分がこの家の人間より強いと認識してしまったので積み込む時は万全の対策で臨まなくてはいけない。トラクターかユンボが必要です。
雪なので牛の方が有利ですし。
シチロウは暴れたら牛舎も潰してしまう可能性もあるので気を付けないといけない。

和牛は牛舎の中で過ごすのが一般的なのだが、シチロウは自由奔放な自然牛で、それゆえ狂暴な面もあり、一歩間違えば動物の本能で人間を襲ってしまうのだ。

 

牛舎をも壊してしまう恐れからシチロウはユンボにつながれている。

牛舎をも壊してしまう恐れからシチロウはユンボにつながれている。

通常、乳牛の雄は、初乳や代用乳を飲んでいる時点で家畜市場に売られ、これを肉牛肥育農家が買い取っていきます。

種雄牛のシチロウは、群れを率いて人間を威嚇しながら自家産の農薬なしの草と山に生えた芝、野草のみを食べて育ちました。

穀物をたっぷり与えてサシを入れる和牛と違って、まさしく自然のままに育ったシチロウの肉はいかなるものか?

とまぁ、ちょっと大げさに書きましたが、だいたいは想像できるのです。
赤身で肉質は硬くて獣臭がして、お世辞にもおいしいとは言えない肉。
いくら希少な肉であっても、おいしくなければ商品としての価値はありません。

屠畜は様々な理由から延びに延びて3月初旬に無事行われたのですが、残念なことに腸などシロモノと呼ばれる内臓は廃棄になってしまった。シチロウの最後は、かなり暴れるだろうとの予想を反して、静かに一声も吠えることなく、屠場へ向かうトラックに乗って行ったそうだ。

先に書いたように、乳牛で草ばかり食べていた肉は評価が低くくて価値がないのです。
ここでいう価値とは、あくまでも商品価値であって、もし、おいしかったら「希少性+味」で評価は変わってくるかも(期待を込めて)

大自然の中で健康に育ったシチロウの肉は、投薬や輸入穀物で太らせるだけ太らせた金儲けのための牛とはまったくの別物です。

ちょっと乱暴な書き方をしましたが、700kg近くもある枝肉がセリに頻繁に上場しているのを見ると、生産者に愛をまったく感じない。なにをナマヌルイことを、と言われるかも知れないが牛が好きなのか、金が好きなのかと・・・・まぁ、この話はとりとめがなくなるのでやめておこう。

 

シチロウのリブロース断面、サシがまったくなく草だけで育ったことがよくわかる。

シチロウのリブロース断面、サシがまったくなく草だけで育ったことがよくわかる。

シチロウの肉をなんとかおいしくしたい、ということで岩手町の 『肉のふがね』さんが手を挙げてくれたそうだ。私は骨付きのロースを1本ドライエージングさせてもらうことになった。

写真を見てもおわかりのように、このままでは間違いなく硬くて食べられない。
おそらくゴムのような食感で顎が疲れるだろう。結果はどうなるか予想もつかないが、通常より少し長めの50日~60日をメドにドライエージングして、できればたくさんの人に食べていただきたいと考えています。

ラッキーなことに、ハラミ、ツラミ、タン、テールの4種類がきたやま南山に届いたとのことで、昨日ありがたく試食させていただいた。

楠本さん曰く、「完全草食闘魂牛」、男の中の男シチロウの内臓は柔らかさこそなかったが、なんとも味わい深くておいしかった。

種雄として貢献してきた反面、去勢していないため獰猛で人が近寄ると土を蹴り上げながら威嚇し屠畜も延び延びになった問題児シチロウ・・・噛みしめるたびに、見たこともないその光景が浮かぶから不思議だ。肉になったいまでも存在感が大きく、それは食べた人の血となり肉となってパワーを注入されていくような気がした。

IMG_5551

驚いたのはタンだ。けっこうサシが入っているではないか。
臭みもなく、少し硬さはあったものの、世間に出回っている輸入牛のタンより格段においしかった。

IMG_5548

ツラミ(天肉)は、もう少し筋を丁寧にカットしたほうが良かったのだが、私は歯が丈夫なこともありこれぐらいの食感が好きだ。味が濃くて塩胡椒だけでも十分おいしかった。

IMG_5572

これは言わなければおそらく畜産関係者でもなんの肉か分からないと思う。
じつは「ハラミ」なのだ。私は口にはださなかったが「シチロウ、おまえなんちゅう横隔膜してるんや」と一人クスクス笑って楽しませていただいた。周りから見たら、肉をみながら中年男が1人でニヤついている姿など気持ち悪いのなにものでもない。

ハラミは、非常に硬かったが、カット方法を工夫すればかなり旨くなるはず。

ドライエージングしているロースは、菌がうまくつけば4月13日頃に仕上がる予定です。雄牛でもこんなにうまいということをシチロウの肉で証明したいと思います。

 

 

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