枝肉による変色について
公開日:
:
2012/06/09
雑記
私が若かりし頃の肉屋といえば、枝肉流通があたりまえだったのだが
いまは部位別に真空パックにしたボックスミートが主流だ。
当店は、昔から枝肉にこだわっているので現在も生産者直結(自家割)
もしくは、食肉センターで開催されるセリにて枝肉(写真参照:骨付きの肉の塊)の
一頭仕入れしている。
私が修業していた頃の肉屋の冷蔵庫といったら、それはもう独特の匂いがして
それが肉屋の証のように思っていた。
ところが、1991年の牛肉の輸入自由化あたりから、ボックスミートの流通が本格的になり
肉屋の冷蔵庫が無臭になりはじめた。
いまでも、枝肉を使っている歴史のある肉屋の冷蔵庫に入ると、自然発生の微生物の
影響なのか、「肉屋の匂い」がする。
当店の冷蔵庫も、昔ほどではないが肉屋の匂いがする。
この匂いを知っている世代にとって、熟成肉のナッツのような甘い香りは懐かしくもあり
なんとも言えないええ香りなのである。
真空パックで流通している肉は、旨味を吸い出してしまい、ドリップ(血)が滲みでて
しまうから肉色が薄くなってしまう。
そもそも枝肉を使う店が少なくなってきたのは、捌きをする職人の減少と
肉の変色が早いからだ。
とくに水分が多い肉の変色は歩留まりが悪くて使いにくい。
ただ、本来の牛肉の旨さは、枝肉による熟成であって、
たとえ色が黒ずんでいても痛んでいるわけではないので、そのあたりをキッチリ説明して
理解して買っていただくとおいしい牛肉に出会えるのだが、どうしても見栄えが良くないので
カットさぜるおえないのが現状なのだ。
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