「健全な牛肉」について考えてみる
公開日:
:
2012/10/07
雑記
産まれたばかりの子牛だ。
牛舎に備え付けの監視カメラの映像をパチリとやったもの。
ブランド牛と呼ばれる近江牛や松阪牛など、大半は8ヵ月程度の子牛を買い付けて
自分ちの牧場で育てるので、このような光景は珍しいのだ。
ホルスタイン(乳牛)は、お乳を搾るのが目的なので
産まれたばかりの子牛は1週間程で親と離されあとは人工乳で育ちます。
黒毛和牛の雌は、子牛を産むのが目的なのでしばらく子育てしてから
離乳後は人工乳で育てます。たまに育児放棄する牛もいますが・・・。
当店の牛を育ててもらっている木下牧場は、繫殖肥育一貫なので
子牛を産ませて育てるまでが仕事です。
その後は、私が引き継いでおいしく肉にするのだが、こういったエンゲージメントが
当店の安全と安心を支えている。
私は、2006年頃から「健全な牛肉」について真剣に考えるようになった。
何が原因でそんなことを考えるようになったのかは忘れてしまったが
木下牧場というすばらしい生産パートナーがいて、支えてくれる仲間(お客様)がいるから
成り立つ事業であり、同業者からみれば異端すぎて、おまえらアホちゃう?の世界だと思う。
問屋さんなんか特にそう思うだろう。
牛は経済動物なのでいかに儲かるか、いかに商業ベースに乗るかで目利きし値決めするのだが
そこに私のようにエサだのこだわりだのを浸らせると問屋としてはお仕事にならないわけだ。
だから私は、問屋機能を持たない「肉屋」に徹している。
でも、ここが大事、「ただの肉屋」ではない。
詳しくは、今週末発売の阪本啓一氏の最新マーケティングブック!
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「健全な牛肉」は、エサの話抜きでは語れないのだが
日本の畜産の大半が輸入飼料に頼っているのが現状でこれはどうしようもない。
簡潔な理由は、国産飼料で国産牛すべての胃袋をカバーできない。
仮にできたとしても、いまの販売価格のおそらく10倍ぐらいの値付けをしないと
採算が合わなくなるだろう。
当店で扱っている近江牛も、いまのところ100%国産飼料で育てた牛肉ではない。
来年の10月から正式に販売する、オール国産飼料で育てたプレミアム近江牛までちょうど1年。
木下牧場と藤井牧場で現在取り組んでもらっているのだが、おそらく市場では支持されない牛肉に
仕上がるだろう。
しかし、それはあくまでも商業ベースでの目線であり消費者目線ではない。
私が目指している牛肉とは、赤身主体で味が濃く、けっしてしつこくない脂身
牧草中心だが臭みがなく、食べても食べても体重が増加しない牛肉なのだ。
私は、1億2800万人を相手に商売しようなんて思っていない。
近江牛.comを訪問し、私たちの「考え方」に共感してくれる方だけで十分だ。
いま頷いているあなたのような方が振り向いてくれる、そんな牛肉を販売したい。
それができるのは、私たちだけだと少しだけ胸を張って言えます。
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