ジビーフ「岡さん」短編ストーリー
公開日:
:
2021/03/20
ジビーフ(完全放牧野生牛)
2月15日に屠畜したジビーフ「オカさん」33ヶ月齢
この牛の背景が短編ドラマのよう。
記憶のなかに薄っすら。ジビーフはアンガス種ですが、そのアンガスに黒毛の種を付けたらどうなるのか。6年前、7年前のジビーフは草の香りが強くて肉を食べているというよりも、硬い草を食べている感じだった。
なんとかならないものかと、僕と奈緒子さんの試行錯誤がはじまり、アンガスの母ちゃんに黒毛の種を人工授精で付けて生まれたのが「くうちゃん♀」でした。
いよいよ肉になる当日のこと。出荷しようとしたら、なんとくうちゃんの妊娠が発覚。そのときの子供が岡さんでした。
※くうちゃんとか岡さんとかはジビーフの名前です。名前をつけたほうが管理しやすいので知り合いの名前をつけています。
くうちゃんも小さめでしたが、岡さんはもっと小さく、これ以上飼っても大きくならないと思い出荷しましたが、肉になった岡さんは、予想以上に小さくてびっくりしました。脂肪が全くなくて、筋間脂肪もゼロで、格付けは当然ながらC-1です。
黒毛和種の血が25%入ってるにも関わらず、交配したらこうなるのかという。
ジビーフを扱い始めた当初。肉を触った手は洗っても洗っても草の香りがとれず、いまでは懐かしい思い出のようになっています。土壌や牧草の変化で以前より草の香りは弱くなってきたのが最近のジビーフでした。
が、
岡さんのサーロイン。当初のあの香りを纏って、歯が折れそうなぐらい硬い肉質は熟成によって、ほどほどになり、これぞジビーフというような、なんとも凄い肉に仕上がりました。ここまでくると好き嫌いが分かれてしまうので、やさしそうなシェフの元へ、まずは本日サーロインを2本発送しました。リブロースも2本ありますのでご興味ありましたらご連絡ください。
さて、草の香り匂い立つジビーフ岡さん、タイミングよく六本木ヒルズのBから電話があって、「これ焼いてみろ、というのがあれば送ってほしい」と待ってましたとばかりのメッセージ。もう1本は、自然派ワインの大御所へ。このジビーフにどんなワインを合わせるのかと、ただただ僕の興味だけで送りました。さて、プロの手により岡さんどんなふうに変貌するのか楽しみです。
関連記事
-
-
ジビーフの一般販売に関しまして
ジビーフの一般販売に関しまして、たくさんの方からお問い合わせをいただいておりますが、今回入荷
-
-
吉田牧場でジビーフミーツな1日に全国から巨匠たちが集まったのでした
「これとこれは獲れた場所が違いますね」と草喰なかひがしの店主、中東さんさんが2匹の鮎を指す。
-
-
ジビーフがつないでくれたご縁は表面的ではない人間の本質的な部分が大きな意味を成しているのです
「生命を知り尽くして、料理して、伝えていくことですかね。また、明日も来ます」中東さんはそう言
-
-
ジビーフ『ババくん』結果は格付けB1となり少しだけ見た目の評価があがりました
金曜日に屠畜されたジビーフ『ババくん』。格付けは少しランクアップしてB1です(笑)牛肉の相場
-
-
岡山県蒜山のジャージー牛とジビーフ
※飲食店の方へ 岡山県蒜山のジャージー牛(去勢:24か月齢)40日熟成が2頭仕上がって
- 新記事
- 十勝若牛とDroit森永シェフ
- 旧記事
- 僕と料理人の関係性について