宮崎の岡崎さんがパイン粕を食べさせて育てている経産牛がとんでもなくおいしくなりました。
2年前だったか、知人の紹介で宮崎の岡崎芳次さん(宮崎県の岡崎牧場)にお会いしたのですが、イベント中ということもあり、私がでバタバタしていたので二言三言、言葉を交わしただけでした。それからお会いする機会もなく、月日は流れ、まぁ、縁があればいつかじっくりお話しすることもあるだろうと思っていた矢先の4月18日、岡崎さんが松本大策さん(同級生でもあり尊敬する獣医師先生)となにやら新しい取り組みをしているというのでエイヤーと宮崎に飛んだのでした。
岡崎さんの牧場は、宮崎市内と高鍋町にあり、オリジナル飼料にパイナップルの粕を配合して育てているオリジナルブランド「パイン牛」がなんといっても魅力でありめちゃくちゃ気になる存在。
しかし、エサにパイン粕を配合して肉質に変化はあるのだろうか?… だれもが食いつくワードだと思うのですが、正直言ってイメージできないんですよね。まさかパイナップルの味がするわけないですしね(笑)
実際、行った日に新しい取り組みをされている牛肉とパイン牛を焼肉で試食させていただいたのですが、もちろんパイナップルの味はしませんでした。
もう一度おさらいすると、そもそもパイン牛というのは、その名の通りパインを乾燥させた粕(滓という字のほうが正しいのかも)を餌に混ぜているのです。酵素により牛の腸内環境がよくなり、獣臭が減少し、香りが増すというわけです。ちなみにパイン牛は私の大好きな和牛経産です。
あぁーなるほど、これなら合点がいきます。経産牛はお産を繰り返しますからどうしても肉質が硬くなります。そのために再肥育して肉と脂を付けていくのですが、単刀直入に試食した結論から言いますと、すごくおいしかったのです。聞いてなければ目の前の肉が経産とはだれも信じないでしょう。それほど色鮮やかで歯切れも良かったのです。
ただ、あくまでも経産牛ですからイマイチ香りが乗っていなかったのも事実です。要はあっさりしすぎていたのです。もちろん悪いことではありませんから、赤身好きのみなさんならぜったい気にいると思いますし、実際に需要も多いと聞いています。
とまぁ、おとなしく帰っていれば「あぁ、パイン牛おいしかった」で終わるのですが、どうしても吊るし熟成とドライエイジングで試してみたくなり、後日、岡崎さんに無理をお願いして4本のロースを骨付きで送ってもらったのです。
吊るしもドライも40日で仕上がるように調整したのですが、結論をいいますと、かなりおいしくなってくれました。フレッシュの状態でもおいしかったのですが、個人的にはドライエイジングのパイン牛が好みですね。
何人かのシェフにも試していただきましたが、ウソ偽りなく、大袈裟でもなく、ものすごく高評価でした。数名の友人も食べていますが、みなさん驚くほどおいしかったとの感想を頂戴しています。
ロース4本のうち、2本はすでに売れてしまいましたが、残りの2本をせっかくなので一般販売することにしました。ご興味ある方はぜひお試しいただければと思います。
関連記事
-
-
異なる2つのシンタマは同じ牧草育ちだが中身がまったく違うので手当ての仕方も変えなければいけないのです
よい肉を食べるには、料理人、肉屋、生産者の三者全部のレベルが高くないといけないわけで(マッキ
-
-
近江プレミアム牛の「枝枯らし」は伸びのある肉質と長く続く余韻が特徴です
友人に誘われて外食することが多い今日この頃。行き先はほぼ100%友人の知り合いがいるレストラ
-
-
幸せな生き方をした牛はいい肉になる
ようやくジビーフの出荷が決まりました。GW前後のと畜が可能との連絡をいただきましたが、5月1
-
-
ステーキ・レボリューション10月17日から全国順次ロードショー
フランスのナントにあるラ バレ ベルト牧場は、シンメンタールというスイス原産の白茶色の牛(母
-
-
熟成肉はうっとりなるほど旨くて美しい
懇意にしている記者の方に誘っていただき 大阪の又三郎へ熟成肉を食べに行ってきた。 お