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真空パック(バキュームパック)の牛肉の扱い方

公開日: : 2016/04/12 雑記

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牛肉の流通のほとんどはボックスミート(部位ごとに真空パックされ箱に入った状態のもの)ですが、当店でも不足した部位を補うために問屋さんから仕入れることがあります。もちろん、問屋さん任せではなく、格付けと生産者を指定しています。それと重要なのがいつと畜されて、いつ枝肉から骨を抜いて真空パックにしたのかです。だいたいが真空パックにしてキリング(賞味期限)を30日で設定するので、できる限り日付けの新しいものでなければいけません。30日に近くなったものは、ドリップ(肉汁)も多く、味も損なわれているからです。そしてなによりも、パックを開けてからの酸化が著しく早いのです。特に骨の周りの肉は数日で腐敗してしまう場合があります。となると歩留まりもよくありません。便利とリスクの世界ですが、どちらを優先するのか、また経験と技術でカバーしながらみなさん取り組まれているのではないでしょうか。

いまや肉屋でもレストランでも真空包装機を備えているところは少なくありません。一般家庭でも簡易的な真空包装機が安価で手に入る時代ですから便利になったものです。ただ、ここで言う真空パックとは簡易的なものではなくバキュームパックと呼ばれるもので、行程的には、まず残毛、異物混入のチェック後に真空フィルムを装着して真空パックを施します。次にシュリンカーにて(設定はいろいろだとは思いますが)だいたい80℃設定の湯に2秒湯漬け(殺菌効果)2℃設定の冷却水に20秒浸けます。その後、残毛や異物混入、真空漏れのチェック後に箱詰めして梱包機によりバンド締めを行いボックスミートが出来上がります。最後に計量して必要事項が印字されたラベルを貼付け金属探知機にてチェック後、冷蔵庫に保管します。

納品された肉はおそらくですが、大半の方が使う寸前に真空パックを破ると思うのですが、日が経ったものや水分が多いものはドリップが半端なくまな板が血の海状態になりかねません。サシがたくさん入ったロース系はまだマシですが、格付けの低い赤身は特にドリップがすごいです。

私の場合は、すぐに使わずに問屋さんから届いたらすぐに真空パックを破ってミートペーパーに包んで1〜2日置いて水分を落ち着かせます。手で触ってしっとりしている状態まで待ってから使うようにしています。

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経験上、真空パックを破って2日程度で変色するようでしたらキリングか行程上になにか問題があると疑ったほうがよさそうです。

真空パックのお肉も工夫次第でおいしくなってくれるので、肉を見て触って経験値を積むことが肉の勉強をする上で、じつは遠回りのようで近道だったりするのです。

 

 

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