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高値が続く牛肉相場はどこまで続くのか

公開日: : 2015/09/04 格付け, メディア

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生産者の方々と親しくしていると、否が応にも血統の話しが耳に入ってくる。肉屋と血統はあまり関係性がないのですが、生産者にとっての血統は繁殖農家にしろ肥育農家にしろ重要な要因なのです。私の場合は同業者よりもどちらかといえば生産者との交流が多くありますので、ほんの少しだけ自分が扱ってきた血統くらいは分かるように書き溜めています。格付けから精肉にするまでの歩留り、味やお客様からの感想など。そのうえで血統の背景も語れるとより伝わりやすいと思うのです。聞かれれば話す程度ですが。例えば兵庫県の種雄牛で「照長土井」という血統があります。生産者の長岡さんと交流があるのでそういったことも織り交ぜながらお話しすると全体の流れとしてもわかりやすいのです。

ここ数年、共励会(牛のコンテストのようなもの)で常にトップの成績をだしている血統があります。「安福久」という血統で、調べると増体系の「平茂勝」「北国7の8」の気高系や糸系の母体の牛に最高だと書かれている。わかりやすく言えば、雄牛と雌牛のかけあわせのことなのですが、「安福久」の血を引く牛が近年好成績を収めているのです。ゆえに仔牛相場でもかなり高値で一昔前なら成牛が買える値段で落札されていくのです。

しかし、いいことばかりではありません、いまの高値相場で仔牛を高く買っても、仕上がる頃(だいたい2年後)にもし相場が下がっていたら高値で買った仔牛は儲けさせてくれるどころか赤字となり生産者にとっては大きなダメージになりかねないのです。

先日の新聞にこんなことが書かれていました。肉牛の肥育農家で構成している全国肉牛事業協同組合は10月に開く和牛枝肉共励会から、「安福久」の血を引く牛を出品できなくすることを決めたと。長文になるので詳しくは割愛させていただくとして、枝肉も含めた牛の相場はあと数年は高値が続きそうです。そうなれば小売価格も見直しをしをせざるを得なくなります。となると和牛は高価なものとして買い控えられ、しいては牛肉離れにつながる可能性も否定できません。そういったことを考えると、そろそろ大きな見直しをしなくてはいけない時期にきているのかも知れません。

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さて、昨日はテレビ番組の取材でした。朝から店内の作業風景を撮影し、生産者を訪ねるシーンからレストランで食事するところまで1日がかりでぐだぐだな感じでしたがなんとか終わりました。

たまたまこの日に牧場視察を予定していたこともあり、イタリアンのシェフ、焼肉店のシェフ、来月に山口県でビステッカの店をオープンするシェフの3名にもご協力いただいたのでした。

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肉牛の出来は80%血統だと言われていますが、それも飼育する環境によってだと思うのです。飼料であり水であり、なによりも技術的なことも大きく左右します。昨日の取材では、赤身ブームで敬遠されがちな霜降り肉の可能性や国産飼料だけで育てている近江プレミアム牛について、さらにこの10年私が取り組んできたことをお話しさせていただいたのですが、どこを切り取って放映してくれるのかは編集次第というわけです。(写真は、山口県でビステッカ専門店をオープンするシェフが酒粕をやるシーン)

どちらにしても、身近な問題としてほんとうに牛がいない。セリにでる頭数も少なくてまだまだ高値相場が続きそうな勢いです。肉屋に肉がないなんてシャレにもなりませんが、好みでもない牛を無理やり買い付けて嫌々仕事するのだけはやりたくないので、気にいった牛がいなければ品切れが続く可能性もあります。どのような状況になっても信念を貫いた商いをやっていきたいと思っています。

 

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