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牛肉の新しい価値を求めて

公開日: : 2012/11/23 雑記

写真は京都ホテルオークラで開催された「信州プレミアム牛肉」発表会のメニューの1つ、「牛ロースの白胡麻と黒胡麻焼き」だ。

カットした状態では分かりにくいのだがカット前はこんな感じ。

牛肉の評価は格付けによって決められているのだが、これは日本格付け協会による牛枝肉取引規格に基づいて格付け委員が行う。しかし、委員によってその評価はまちまちで厳しい格付けのときもあれば逆に甘い格付けのときもある。

厳しいとはどうみてもA5なのにA4の評価であったり、甘いとはその逆である。

信州プレミアム牛肉は、格付けにプラスしておいしさを左右する成分の一つであるオレイン酸の含有率を使った独自の認定を行うというものだ。

つまり、科学的に測定した牛肉のおいしさをブランド化するというもので、牛枝肉取引規格のうち脂肪交雑基準および胸最長筋(ロース芯)中のオレイン酸含有率について、以下のいずれかの条件を満たす黒毛和種の去勢又は未経産牛を「信州プレミアム牛肉」として認定するのだそうだ。

①脂肪交雑7以上(4等級の上限)及びオレイン酸の含有率55%以上

②脂肪交雑5以上(4等級の下限)及びオレイン酸の含有率58%以上

③脂肪交雑8以上(5等級の下限)及びオレイン酸の含有率52%以上

鳥取県でも「鳥取和牛オレイン55」という新ブランドが昨年に誕生した。
こちらは、脂肪中に平均55%以上のオレイン酸が含まれていれば認定対象となるそうだ。
信州、鳥取ともにオレイン酸の測定には専用の測定器を用いるのだが、科学的に味が検証できればおいしさの裏付けが証明され、脂肪(サシ)の量を競うブランド和牛の世界とは違った価値観が消費者にも販売者にも根付くかも知れない。

脂肪交雑(サシ)の多い牛肉ほど、ジューシー感や「和牛香」と呼ばれる香りが高まることは専門家の調査でも明らかになっているが、おいしさの指標の1つとしてオレイン酸は以前より注目されていた。
しかしある研究者によればオレイン酸は味には関係ないとの意見もある。

どちらにしても、ブランド力が強い牛肉がどうしてもおいしのではないかと誤解されがちだがこういった証明がされることにより、無名なブランド牛にも日の目が当たれば牛肉の需要がもっと広がることは間違いないだろう。

なにを選ぶのかは消費者であり、現在取り組んでいる私たちの取り組みも同様のことが言えるのだが万人受けすることを望んでいるのではなく、1人でも多くの方が共感してくれれば必ず価値が繋がると思う。

近江牛はブランド牛として名前は知られているが、高評価を受けるのはサシがたくさん入った格付けの良い牛なのだ。同じような環境で育った牛でも格付けが低いと評価はされない。
味に関しては、格付けにはあまり関係なく、おいしいであろうという思い込みの部分も否定できない。

ブランド牛でも、もっと言えば同じ近江牛でも販売者の持論によって大きく異なる。
A5などのサシがたくさん入った肉を求めるなら当店は得意ではないので他店にお任せすることになるし赤身でおいしい肉を探しているなら当店で用意することが可能だ。

良い牛の条件は「血統」「飼料」「環境」だといわれている。
私もその通りだと思うのだが、余裕を持って管理できる頭数と1頭1頭に注がれる愛情が最も重要だと思う。

当店では、生産者情報や飼料などを公開しているが安全性を公開すればするほどより安全性を求められる。

同じようなことだと思うのだが、サシを追求すればするほど牛に負担をかけ事故に繋がるケースも少なくない。

「私たちが食べている動物が何を食べているかで私たちの健康が決まる」

この言葉を今一度じっくり考えてから商品を手にとっていただきたい。

 

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