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おいしくするための枝枯らし

公開日: : 2015/10/13 近江牛

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最近「枝枯らし」という言葉をよく耳にします。枝肉を仕入れて捌き(脱骨)をしている食肉関係者にとっては珍しくもない言葉ですが、真空パックの普及により流通形態が変わってしまってからは昔の技法のような伝わり方がされています。

そもそも枝枯らしとは、枝肉のまま吊るしておくことなのですが、ご存じのように牛は命をたたれると死後硬直が起こります。硬直中は肉は硬くこの段階では食用としては不向きです。時間の経過とともに硬直が解け(解硬)、やわらかく(軟化)なります。この状態を熟成と呼びますが、昨今流行っている熟成とは少し異なります。とは言っても、なにが熟成でなにが熟成ではないか、情報が溢れすぎてわかりにくくなっているかと思われます。

食用の肉は、と畜後すぐに精肉にするのではなく、一定期間冷蔵庫に吊るしてから硬直がとけた頃に販売します。どれくらいで硬直がとけるのかは職人の判断ですが、1~2週間程度で肉はやわらかくなります。これを『枯らす』と呼びます。

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写真はウチヒラですが、枯らすと空気に触れている面はこのように黒ずみます。これで20日程度経過しているのですが、2㎝程度削げばきれいな肉が現れます。

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空気に触れていない面は変色はしていません。

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私の場合は、肉によって7日~30日程度枝肉のまま枯らします。効果としては、肉はねっとりして旨味が増します。このあたりの見極めは非常に難しいのですが、毎日肉を触っていればなんとなくわかってくるものです。科学的な根拠があるのかどうか分かりませんが、勘に頼るところが大きいのが枝枯らしなのです。

 

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